2011年3月11日の大津波被害に遭った土地で宮脇昭氏が推進する植樹運動(「緑の防潮堤づくり」)については様々な問題がある。すでに指摘されている部分もあるし、これから出てくる議論も多いだろう。 現在のところ、生態学的な問題について簡潔に指摘する文章が少なく、漠然とながらも疑問視する声を多く聞く。そこで、この運動で植えられている樹種の問題点についてだけ、少し整理してみた。まず宮脇氏の著書を読み、講演やシンポジウムでの発言を聞き、岩手県内の事例について知識を得た上で、明らかと思える問題について整理した。もちろん、他に問題がないわけではないが、それは他の人が指摘してくれると期待している。 0.行われていること 宮脇昭氏は、太平洋沿岸地域について、岩手県宮古市付近に線を引き、線の南側は常緑広葉樹林帯、北側は落葉広葉樹林帯であるとする。この説に依拠して、宮古市以南で植樹をする時にはタブと常緑カシ類を