「虎に翼」は関東大震災で多くの朝鮮人が虐殺されたことを取り上げ、話題になりました。実は、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは番組放送開始以来、「このドラマは関東大震災に触れないのかなあ」と気になっていたそうです。前編で崔香淑(チェ・ヒャンスク、ヒャンちゃん)のことを語ってくれた安田さんの「虎語り」の後編は、加害の歴史、そしてグリーフケアについてです。【オピニオン編集部/小国綾子】 前編「なぜ父は出自を語らなかったのか 安田菜津紀さんと『虎に翼』」 エンタメと朝鮮人虐殺 ――7月30日の放送回で「虎に翼」は関東大震災と朝鮮人虐殺について正面から扱いました。朝鮮籍の男性が被告となった放火事件の裁判をめぐって、「火のないところに煙は立たずですよ」と裁判官の入倉が言うのに対し、上司に当たる星航一が「朝鮮人が暴動を起こした」という流言によって罪なき朝鮮人が大勢殺されたことを説明する場面です。安田さ