『出撃!魔女飛行隊』は、冷戦期に書かれたものであるだけに、やはりソ連や軍隊というものの暗部に触れられない部分が多く、作家のスタイルもあって「戦記物」の域を出ない感じだった。もちろん、それはそれで十分興味深いし、価値はあるのだが。 『戦争は女の顔をしていない』 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ・著、三浦 みどり・訳 群像社(2008) それに対して、『戦争は女の顔をしていない』はまごうことなき「実録」であろう。 ベラルーシのジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏が、ソ連末期から2000年代にかけて、500人以上の女性従軍兵士にインタビューし、何千という手紙を読みこんだ集大成である。 ソ連崩壊以降、そして死を意識する年齢に到達することで、ようやく本音の部分が吐露されるようになり、真実みと凄みが増している。 100万人以上が従軍したという、世界でも類を見ない女性の動員率を誇っ