島田紳助の引退騒動が暗示したのは暴力団は生産せず、消費する一方。ブラックホールのような存在だという一事である。 紳助は芸能界を引退したのだから、引退以降は芸能活動による収入がゼロになる。同時に過去の芸能活動とそれに伴う人気の相乗作用で蓄えた資産と、それを生かした何店もの飲食店経営や、ビルなどの不動産投資も、同様に暴力団により消尽されていく——。 なぜこう断言できるかといえば、暴力団の内側は法治国家ではないからだ。内側に入った以上、法の保護を求めることはできない。紳助を守れるのは暴力だけだが、しかし彼は自前の暴力、つまり彼の命令に従う手兵、子分を持っていない。そのため紳助はライオンの群れに自ら身を投じたに等しい。 たとえば山口組3代目組長・田岡一雄の時代に小田秀臣という若頭補佐がいた。彼は大阪・鶴橋で金融業を営み、山口組の「金庫番」といわれていた。山口組が一和会を分派したとき、彼は心な