市場がイタリアに突きつけた首相退陣: 泥酔論説委員の日経の読み方
１０日朝刊２面【総合・政治】 イタリアのベルルスコーニ首相が辞意を表明した。ギリシャから始まった債務危機がイタリアに波及し、金融市場や議会で「財政再建を実行できない」とみなされた首相が退陣に追い込まれた。 信用不安の拡大を食い止められるかどうか、イタリア政局がユーロ圏の将来と、世界経済の行方を左右する。何としても、ここで危機を食い止めなければならない。改革を推し進める力を備えた新政権の速やかな発足を望む。 イタリアの経済規模はユーロ圏全体の約17％を占め、独仏に次いで大きい。財政破綻などの事態に陥れば、３％以下のギリシャとは比較にならない影響が出る。単一通貨ユーロの信頼が大きく損なわれ、欧州が半世紀かけて進めてきた経済統合そのものも、失敗とみなされかねない。 金融市場では政府債務残高の国内総生産（ＧＤＰ）比がギリシャに次いで高いイタリアが狙われ、国債が一気に売られた。国債利回りが急騰し、財
中国の成長と道徳心: 泥酔論説委員の日経の読み方
３日朝刊１７面【マーケット総合】大機小機 桃李 最近中国では、高速鉄道事故や子供のひき逃げ事件が続き、改めて世界を驚かせている。中国内での反響も大きく、官僚や医者などによる汚職や若者の間での拝金主義まん延も連日、批判的に報道されている。 以前から問題視されてきた商道徳や順法精神の欠如は、宗教や儒教、教育、知識人などを全て否定し破壊した文化大革命以来、という指摘もある。 為替レートや賃金の上昇によって、それ以外のリスクがいっそう目立つようになり、人材面の評価の高いベトナムなどに企業がシフトしていく要因の一つとして、経済規模が拡大した中国の成長に関する懸念材料となっている。 周辺諸国との領土問題に関する強硬姿勢も、単独の対外的政策というより、国内世論向けの配慮と見る方が分かりやすい。国民の意識レベルが上がらないと、政権維持が最重要課題の政府も国際水準の対応が困難ということだろう。 経済規模は世
米、ドル安基調を黙認 ＦＲＢ元幹部、「景気刺激策の一部」: 泥酔論説委員の日経の読み方
2日朝刊4面【国際】ワシントン＝矢沢俊樹 米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が米景気刺激に向け、緩やかなドル安を事実上黙認していることがわかった。バーナンキＦＲＢ議長側近として、量的緩和第２弾（ＱＥ２）などに関与したＦＲＢ元幹部が「ドル安は政策手段の一部」と言明した。為替が無秩序に変動しない限りドル安基調を長期にわたって放置する公算が大きい。市場での潜在的な円高圧力は当面続きそうだ。 同元幹部はリーマン・ショック後の危機対応やＱＥ２などＦＲＢの重要な政策決定に最近まで深く関与。匿名を条件に日本経済新聞記者に語った。ＦＲＢの最近の金融政策について当事者が明確に認めるのは異例。 同幹部は昨年８月以降加速したドルの減価について「率直に言って、ＦＲＢとしてはきわめて快適（ｑｕｉｔｅ ｃｏｍｆｏｒｔａｂｌｅ）だった」と指摘。ＦＲＢ内部で歓迎する空気が強いとの認識を示した。 ＱＥ２では、昨年11月から今年６月
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