こうしたリスク面への配慮を怠って苦境に陥った企業は、他にも数多く存在する。特に有名なのが世界的スポーツメーカーの米ナイキ社だ。 今でこそ同社はCSRの優等生で、CSR報告書の評価も非常に高い企業として知られている。だが、ここまでたどり着くには、企業の果たすべき責任を考慮せずビジネスを行い、経済的な大打撃を受けた苦い経験があった。 ナイキのビジネスモデルは、スポーツ用品・衣料品のデザイン・開発は自社で担当し、製造は低コストのアジアなど発展途上国の工場に委託するというものだ。これにより多くの利益をあげ成長してきた。しかし、そのグローバリゼーションを活用したビジネスモデルも盤石ではなかった。実際は、発展途上国の労働者からの「搾取」もあって、成り立っていたのだ。 1997年、ナイキが委託するインドネシアやベトナムといった東南アジアの工場で、低賃金労働、劣悪な環境での長時間労働、児童労働、強制労働が
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