長野市大門町の老舗レストラン「五明館」が30日閉店し、73年の歴史に幕を閉じた。善光寺参道沿いの名店がなくなり、住民らからは惜しむ声が上がった。 五明館は江戸時代中期、旅館として創業。1938年(昭和13年)に敷地内の食堂「銀扇寮」で料理を出すようになった。87年、旅館から飲食店に業種を変え、名前を五明館に改めた。 食通として知られた作家の池波正太郎が定宿としており、レストランの洋食も好物だった。別所温泉(上田市)で痛風の発作を起こしたにもかかわらず、長野まで来て、ビフテキを平らげたこともあるという。 明治、大正の雰囲気を残し、ビフテキをはじめ、オムレツやインド風カレー、薄茶アイスクリームなどが人気だった。和洋折衷のレトロな外観も大門町独特の景観を作っていた。 経営会社「五明館扇屋」の中沢泉社長(62)によると、店の経営状態は悪くはなかったが、東日本大震災の影響で、今年8月の売り上げは例年