ラノベのひとつに書き手と読み手の距離感の近さがある コメディー系作品の多くに、ヒット作ノパロディーやネットスラングといったネタが含まれているのも 作者が読者と同じ目線を共有していることを示すためだろう 「妹萌えオタクの妹」をヒロインにした本作はこうした側面をとことん追求したシリーズだと言える 先にあげた「ネタ」はもちろんのこと、作中で実在の個人ニュースサイトに言及し、地の文では顔文字を導入 今後の展開を読者アンケートで直接問うたこともある、そんな実験的とさえいえる試みの数々を 「妹を守るために必死にがんばる兄」という普遍的なプロットに乗せて展開した。徹底して読者目線の作品だった。 だが、どれだけ読み手に擦り寄ったとしても、その全員を満足させることは出来ない。 魅力的なヒロインが複数登場するラブコメならなおさらだ。 読者の声に耳を傾け続けたことで、誰を選びどう終わらせるかという作者の決断はか