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ブックマーク / honz.jp (16)

  • 映画「立候補」 – HONZ

    出演:マック赤坂・羽柴秀吉・外山恒一 高橋正明・中村勝・岸田修・櫻井武ほか 監督:藤岡利充 撮影 / 製作:木野内哲也 音楽:田戸達英(主題曲)/ 岩崎 太整 / 佐藤ひろのすけ 製作補助:赤間哲也 このドキュメンタリーには映画の神様が2度舞い降りる。せっかく映画の宣伝が出来る機会を頂いたので、広告のセオリー通り一つ目の神様光臨までを書かせてもらい、2度目は皆さんの目で、劇場で確認いただければ幸いです。 映画「立候補」が予想を大きく上回る反響を受けている。「どうしてだろう?」今年2月の夕張国際映画祭での招待上映までは劇場公開など夢のまた夢でしかなかったのに。藤岡監督と首をかしげるばかりだ。 舞台は2011年秋に大阪で開かれた大阪W選挙(府知事、市長選挙)。マック赤坂を筆頭に大阪ローカルの無所属候補者3名を軸に泡の様に現れては消えていく泡沫候補たちを追った。同時に、伝説の政見放送で知られる外

    映画「立候補」 – HONZ
  • 『国家はなぜ衰退するのか(上、下)』その僅かな差が何を変えたのか!? - HONZ

    かつて梅棹忠夫は『文明の生態史観』の中で、世界を第一地域と第二地域に大別した。ユーラシアの中央部を占める専制的権力の発達した帝国が乱立した地域を第二地域、封建制を主体とした西ヨーロッパと日を第一地域とし、その制度と文化の違いが近代の形成に大きな影響を与えたとする。繁栄と衰退とを巡る問題は梅棹忠夫に限らず多くの人々が答えを得ようと議論を重ねてきた。 貧富の格差の問題が取り上げられるとき、よく出てくる理論に地理説と文化説、そして無知説がある。地理説では最近、ジャレド・ダイアモンドが、『銃、鉄、病原菌』を著し話題になった。文化説はマックス・ウェーバーが説いた、プロテスタントの自立心こそが近代工業社会の発展に寄与したという理論まで遡る。無知説は発展途上国の為政者の経済政策の知識の欠如を指摘するもので、経済学者などに支持者が多い。しかし、書のではこれらの説は否定される。 では、なにが貧富の差を決

    『国家はなぜ衰退するのか(上、下)』その僅かな差が何を変えたのか!? - HONZ
  • 『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』 - 海を渡った十字軍 - HONZ

    同じような時期に、同じようなレベルの偉業を達成したケースであっても、時の流れはいずれかの人物に軍配を上げる。「微積分」の神は、ライプニッツではなくニュートンを祝福し、「電話」の女神はイライシャ・グレイではなくグラハム・ベルに微笑みかけた。 近代の幕開けとなった大航海時代にも、幾人かの英雄たちが存在する。その中で誰しも真っ先に頭に思い浮かべるのは、コロンブスの名前であることだろう。1492年にアメリカ大陸を発見したコロンブスによる功績の大きさは、教科書の記述を見るだけで明らかだ。 だが、それから遅れること数年、1498年にポルトガルの航海者としてインドに到達したヴァスコ・ダ・ガマこそが、その後の世界を一変させた人物であり、後世に与えた影響の大きさは計り知れないのだと著者は主張する。 書は、そのヴァスコ・ダ・ガマの航海を、4世紀にわたってキリストの名のもとに剣を振り回した十字軍の直接の後継と

    『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』 - 海を渡った十字軍 - HONZ
  • 『宇宙旅行はエレベーターで』 - 地上33,333,333階への架け橋 – HONZ

    書のテーマとなっている宇宙エレベーターについては、SFの世界で長らく定番ネタとして扱われてきたものである。宇宙から地球に向かってケーブルを垂らし、そのケーブルを伝ってゴンドラのような乗り物が、摩擦を利用して昇っていく。ケーブルの全長は約10万km。仮に1フロアの高さを3mと仮定すると、地上33,333,333階建ての高層ビルに匹敵するスケールを持っている。まさに雲をつかむ、どころか星をつかむような話だ。 これを書では、2020年代から2030年代の間に実現可能と予測する。背景には、1990年代におけるカーボンナノチューブの発見という出来事があった。現時点では実験室レベルに留まっているものの、鋼鉄の約400倍の強度を持ち、信じられないほどの柔軟性持つ新たな素材が見つかっているのだ。 著者の一人は、このカーボンナノチューブ性のケーブルを使えば、宇宙エレベーターが自重や、貨物の重さに耐えうる

    『宇宙旅行はエレベーターで』 - 地上33,333,333階への架け橋 – HONZ
  • 分子生物学者たちの壮絶な争い『ドキュメント遺伝子工学』 - HONZ

    1970年代後半、遺伝子工学という1つの巨大産業が生まれた。 書はその誕生の場面を切り取った、良質なサイエンスドキュメント。そして、1つの産業をリードするベンチャーの誕生から成功を駆け抜けるストーリーでもある。 サイエンスとビジネス、叡智と欲望が交差する間で、2つの大学と資金たった1,000ドルのベンチャーが、インスリンという1つの物質の生産を賭け、競い合った。 そもそもインスリンとはどういうものか?ヒトは「体内のインスリン量がゼロ」という状態が続いたら、早くて1~2日で死に至ってしまう。これほどまでに直接的、かつ短期間に生死を揺るがす物質、それがインスリンである。ほ乳類にとって最も重要なホルモンと言われ、それを証明するかのように、インスリン関連の研究に、ノーベル賞が7つ授与されている。 約90年前にインスリンは発見されるまで、糖尿病患者は飢餓療法で餓死するか、糖尿病昏睡で死に至るか、

    分子生物学者たちの壮絶な争い『ドキュメント遺伝子工学』 - HONZ
  • 食事中毒患者 『加速する肥満 なぜ太ってはダメなのか』 ディードリ・バレット - HONZ

    採点:★★★★☆ 健康、ダイエットに関心のある人にはおススメ。人間にとっての「事」の意味を考える 「太る」「べ過ぎる」ことが如何に体に悪いかを様々なデータをこれでもかと畳み掛ける。書を読めば自身の生活を見直そうと考えない人は極少数だろう。しかし、実際に生活を変える人もまた極少数だろう。 自然選択説という言葉がある。 Wikipediaによる説明は以下の通り。 厳しい自然環境が、生物に無目的に起きる変異(突然変異)を選別し、進化に方向性を与えるという説。1859年にチャールズ・ダーウィンとアルフレッド・ウォレスによってはじめて体系化された。自然淘汰説(しぜんとうたせつ)ともいう 自然選択の結果最適化されているはずの我々(の多く)がなぜ太ってしまうのか? その答えは単純だ。自然淘汰や種の進化に要する時間のオーダーよりも圧倒的に短い期間で我々の生活が変わってしまったのだ。人類がアフリ

    食事中毒患者 『加速する肥満 なぜ太ってはダメなのか』 ディードリ・バレット - HONZ
  • 『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ

    1995年、東京都国分寺市で長さ340mの幅12mの道路が発掘された。造られた時代は約1300年前の飛鳥時代。そして驚くべきことに、この巨大道路は寸分の狂いもなく一直線に造られていたのである。 その後の調査の結果、現在では、7世紀ごろには日中を張り巡らす巨大道路網が建設されていたことが判明している。東北から九州までの長さ約6300kmもの距離を、最大幅30mで敷設するというまさに巨大道路だ。田中角栄議員立法により実行された1966年の高速道路計画は6500kmであるから、それと同じ規模の距離をより幅広で建設していたことになる。 いったい誰がいつ何のためにそんな巨大プロジェクトを遂行したのか。驚くべきことに、これほど巨大プロジェクトにも関わらず、実はこの国家的規模の大規模事業がなされた理由はまだ正確に分かっていない。文献史料には何も記されていないのである。書はそんな「謎の巨大国家プロジェ

    『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ
  • 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』2013年のNo.1でいいでしょ! - HONZ

    早くも2013年成毛眞のおすすめNO.1が登場してしまった。今年はこれ以上面白いに巡りあうこともないであろうから、2013年の読みは3月吉日にて終了である。あとは惰性でつまらん仕事をするなり、散歩代わりのゴルフに出かけるなりして、ヒマをつぶすしかないであろう。じつに残念なことである。ともかく書はめったにお目にかかれない傑作なので買うべきです。以上です。それではみなさんさようなら。また来年お会いしましょう。 などと言ってられない事情がある。HONZを運営するためのサーバー費用を稼がねければならぬ。しかたがないので書の中身をちょっとだけご紹介してみよう。とはいえこのレビューを読む時間があったら、いますぐ屋に向かったほうが良いと思うのだが・・・ま、いいか、しつこいか。書は鳥類学者が無謀にも恐竜を語ったである。これではタイトルどおりだ。良くできた映画は説明が難しい。つまり全文を

    『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』2013年のNo.1でいいでしょ! - HONZ
  • 『世界の特殊部隊作戦史1970-2011』エリート兵と非対称戦争 - HONZ

    が最後に経験した戦争は第二次世界大戦だ。召集兵が大規模に集結し、いく度かの大会戦を経て雌雄を決する。日人が経験し、あるていど皮膚感でわかることのできる戦争は、この当時のままで止まっているように思う。むろんそれは素晴らしいことだ。しかし、時代は移り現代では非対称戦争の時代といわれて久しい。ゲリラ、テロなど目に見えない敵と、何時どこで戦闘になるのかわからない。そんな戦争が世界のあらゆる場所で展開されている。そのような戦場で活躍する者達。それは凄腕のエリート兵で組織された特殊部隊だ。 特殊部隊が誕生する経緯は国によって様々だ。特に変わった経歴を持つものがドイツのGSG-9。この部隊はミュンヘンオリンピックの人質事件がきっかけで誕生している。ナチスの記憶が生々しかった当時の西ドイツでは、軍国主義を彷彿とさせる組織を過度に敬遠していた。そのために、犯人グループ「黒い九月」に対抗することができな

    『世界の特殊部隊作戦史1970-2011』エリート兵と非対称戦争 - HONZ
  • 『BRUTUS 6月1日号』 - HONZ

    好きにとってこの号は間違いなく買いだ。特集は「屋好き。」記事の1目「わざわざ行きたい新しい屋のカタチ」では品川駅ecuteの「PAPER WALL」、下北沢の「DARWIN ROOM」などの屋を紹介している。 続いての記事は「なぜ、京都の〈恵文社一乗寺店〉は、わざわざ全国から客が訪れる屋なのか?」。店内の写真に見入ってしまう。もはや屋そのものが出版物である。面陳(表紙を見せる陳列)と棚刺し(背表紙を見せる陳列)の絶妙な組み合わせ、新刊と古書、文庫と単行の並列など、見開き3ページだけで15分ほどかけて、なめるように見てしまった。 それ以降の記事もとても面白いのだが、さらに「この100ジャンルに強い100書店」という別刷りの綴じ込み付録がついている。嶋浩一郎氏と内沼晋太郎氏の「まだまだあります、一度は行きたい名書店」という対談も適切。 読みすすめるにつれ、3軒の特色ある書店を

    『BRUTUS 6月1日号』 - HONZ
  • もう、辞めたい・・・。心優しき『戦国の貧乏天皇』 - HONZ

    なかなか刺激的なタイトルだ。 わずか7文字の中に、知的好奇心を刺激してやまない「違和感」が内包されている。 まず「戦国」と「天皇」がうまく結びつかない。日史で習った天皇を思いつくままに挙げてみても、古代であれば神武、推古、聖武、桓武といった有名ドコロがすぐに浮かぶし、中世になると、後に院政を敷いたことで知られる白河、鳥羽といったあたりが思い出される。しかし、その後となると、多くの人にとって耳馴染みがあるのは後醍醐天皇くらいで、建武の新政が崩壊して室町時代に入ってくると、その頃の天皇の名前はほとんど知らないのではないだろうか。 そして「貧乏」と「天皇」も、同じように結びつかない。鎌倉幕府の誕生以降、武家統治の時代が長かったのは事実としても、やはり天皇は一貫して日史の中心にいたはずだ。武家の時代にあっても、たとえば征夷大将軍の任命権限を持っていたのは天皇だ。要するに、武家にとっても天皇の権

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  • 壮絶な北海道開拓史 『赤い人』 - HONZ

    年末恒例の「今年のベスト・・・」のセレクションがたけなわである。ちょっと早いが、私が今年復刊されて一番うれしかった『赤い人』を紹介したい。私をノンフィクション好きにしたのは、吉村昭であると言っても過言ではないほど、どの作品も思い出深いが、明治初期の北海道を舞台にしたこの作品は衝撃的だった。 書は、わずか300頁を少し超えたほどの文庫である。昨今の小説では普通。長編ミステリーとしては薄いぐらいの厚さしかない。しかしこの重量感はどうだろう。読み始める前と読み合終わったあとでは、手の中にあるが10倍もの重さを持っているように感じないだろうか。これが吉村昭の作品である。そして醍醐味でもあるといえよう。 『赤い人』は明治維新から10年ほど過ぎた、日が列強諸国に肩を並べたいと強く思いだした時代から話が始まる。当時、北海道開発は明治政府にとって急務のひとつであった。幕末の闘いに敗れた幕府軍の武士

    壮絶な北海道開拓史 『赤い人』 - HONZ
  • 文化を牛耳る『平山郁夫の真実』 - HONZ

    2009年に他界した平山郁夫といえば、東山魁夷、岡太郎と並び日で最も高名な画家の一人として知られる。人の絵を飾っている方もいるかもしれない。 国内において一番知名度があり、値段が高く、画壇ヒエラルキーの頂点にいた事実でいえば「平成の国民的画家」は間違いなく平山郁夫だろう。なにより「芸術家は貧乏だ」という常識を覆す美術界のモンスターだった。 平山自身は画家でありながら、納税額は1995年の長者版付で6億4277万円、年間収入は10億を超えた。ふつう画家と呼ばれる多くの人達は、描いてて楽しい純粋な心からスタートし、家族を顧みず、己の世界に没頭するため金や政治とは無縁、それが一般的なイメージではないだろうか。 ノンフィクションライターである著者の大宮知信氏は、なぜ平山の作品に億単位の値が付き、法案を通したりと権力を持っているのか疑問だった。著者は言う 芸術家はえてして貧乏だと思っていた。そ

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  • 『商店街はなぜ滅びるのか』+求ム翻訳x2 - HONZ

    前回の投稿に引き続き、商店街を紹介したい。著者は1973年北九州生まれ、炭坑の街北九州の酒屋の息子である。角打ち(酒屋で立ち飲みすること)で店兼自宅の周りは毎日酔っぱらいが囲む騒がしい環境で育ち、その環境を忌み嫌い、また両親も酒屋を継ぐ必要はないと子どもたちに伝え、子どもたちは家業を継ぐことなくみな大学へ進学。酒屋は時代の波に乗るように流されるようにコンビニに業態変換を行い、20人のアルバイトを雇っている。著者の両親は昼夜問わずコンビニの現場で働き続けている。ここまでが書のあらすじ、ではない。これは書のあとがきの一部である。 話は飛んで東日大震災。多賀城市と石巻市、著者が現地に足を運んだ復興の現場風景。石巻市の取り組みはメディアにも頻繁に取り上げられてきた。しかし、被害状況の差はあれど同じく被災した多賀城市の現状は語れることは多くはない。二つの都市の違いは端的に言ってしまうと、商店

    『商店街はなぜ滅びるのか』+求ム翻訳x2 - HONZ
  • 『地図から消えた島々』 - HONZ

    問題です!(SE:ジャジャン!) かつて「ロス・ジャルディン諸島」「イキマ島」「グランパス島」「中ノ鳥島」などが位置した海域はどこでしょう? さてさて。クイズ番組にこんな問題が出る日は来るだろうか。たぶん来ない。難問過ぎる! 解答解説もややこしくなりそうだし……。えっ? そんな島あったっけ、聞いたことない。地図にもない……。クイズマニアの方々からお問い合わせ殺到…かも! 答えは「北太平洋」である。それも日の近海の島々だという。“かつて”は航海の安全には欠かせないものである水路誌や海図に記載されていた、れっきとした地図に載っていた島々である。しかも、「地図から消えた」のは決して大昔の話ではない。「ロス・ジャルディン諸島」が地図から正式に削除されたのは1972年のことであり、「中ノ鳥島」を領土編入する閣議決定手続きの瑕疵については、なんと1998年の参院総務委員会で質疑応答されていたというの

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  • 『江戸時代の天皇』 - HONZ

    昨今の「維新流行」はいったい何なのだろうか。政権交代からTPP、政治家の自己アピールまで、なにかと言えば平成維新だ、平成の開国だ、奇兵隊だ龍馬だと、幕末・維新期になぞらえる。江戸時代は由らしむべし、知らしむべからずの封建的・圧政的時代であり、「鎖国」によって激動する世界史の流れにも目を瞑った時代。それを打ち破ったのが明治維新であり、近代国家日の夜明け、日の青春であるという、いわば「維新史観」が厳然と根を張っていているらしい。だがそれは、維新になぞらえてしまえばもうそれ以上深く考える必要もないという、思考停止の作用を働かせてはいないだろうか。維新=善であると。言うまでもなく、維新とは政権を奪取した側が権力闘争と内戦の勝利を「御一新」と呼び、やがて「維新」と呼んだに過ぎず、そもそも善と悪という基準で判断するようなことではない。歴史の流れに「以前と以後」という断層を安易に設定してしまうことに

    『江戸時代の天皇』 - HONZ
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