10日、タイの首都バンコクで、反政府デモ勢力と治安部隊が衝突し、ロイター通信の日本人カメラマン村本博之さんを含め21人の死者と900人近い負傷者を出す流血の惨事となった。私はここまでの事態は想定していなかったのでやや驚いた。 抗争の背景には、現アピシット首相を支える、対外勢力とも結びついた既存財閥及び官僚、都市中間層、さらに王室もこちらに近いと見られる既存勢力の黄色の派、民主化市民連合(PAD)に対して、タクシン元首相を支持する新興財閥勢力に地方農民や都市貧困層を加えた赤の派、反独裁民主戦線(UDD)との利害対立がある。が、そこまでは従来通りで、なぜ事態がここまで悪化したについては十分な説明にはならない。 おそらく過激な動向への変化には、バンコク週報「戦術を巡りUDD内で対立か」(参照)が指摘するように、UDD内の分裂から戦術変更が関係しているのではないだろうか。 UDD首脳部は、ベテラン