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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (78)

  • 笠井『新版テロルの現象学』:左翼運動を清算するといいつつ未練を残し、アニメに逃げた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    新版 テロルの現象学――観念批判論序説 作者:笠井 潔発売日: 2013/01/31メディア: 単行 はじめに しばらく前にちょっと嫌みなことを書いて、やっと編を読みました。あー、そういえばこんな話だったねー、と思うと同時に、正直いって現代的な価値があるだとは思わなかった。笠井一人が、自分だけのために必要としていた整理でしかなく、それを他人が共有すべき必然性は特にないと思ったのだ。それは昔もそう思ったし(たとえばこのオローク『ろくでもない人生』あとがきを参照)そして、いままた読んで、なおさらその思いを強くした。 いやそれどころか、書は自分がやろうとしたいちばん根のところをごまかして、自分が批判したその枠組みにまさにすっぽりはまりこんでいると思う。今回、新版になってついたとんでもなく長くて混乱した増補は、まさにそのごまかしを隠しきれなくなった結果だ。久々に手に取って、ぼくはそう思っ

    笠井『新版テロルの現象学』:左翼運動を清算するといいつつ未練を残し、アニメに逃げた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 浜野『なんとかはキリストを超えた』:あきれた。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書) 作者:濱野 智史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/12/07メディア: 新書 ごみくず。このの理屈なら、長島茂雄が自分のアレで「巨人軍は永遠に不滅です」と言ったことをもとに、長島茂雄はキリストを超えたという説だって書ける。主張はすべて、かろうじて必要条件はあっても、十分条件皆無なので、信者以外には一言一句たりとも説得力ないよ。アキバ48を押し立てれば尖閣問題も竹島問題も解決だとさ。やれやれ。前著は少しいいと思ったけれど、今後ぼくはこの浜野の書いたものは目に入れないようにすることにした。もラオスに捨ててきます。こっちの古屋に売って純真なバックパッカーたちの精神汚染を引き起こしてはいけない。 追記 そうそう、ぼくが書でもう一つ耐えがたかったのは、もうを捨てちゃったので正確には覚えてないが、序文の最

    浜野『なんとかはキリストを超えた』:あきれた。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/12/11
    バッサリ。
  • クノー『文体練習』:アイデア勝負の文体模写。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    文体練習 (レーモン・クノー・コレクション 7) 作者: レーモン・クノー,松島征出版社/メーカー: 水声社発売日: 2012/09/22メディア: 単行 クリック: 201回この商品を含むブログ (5件) を見る 文体練習 作者: レーモンクノー,Raymond Queneau,朝比奈弘治出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 1996/11メディア: 単行購入: 15人 クリック: 532回この商品を含むブログ (145件) を見る クノー『文体練習』の新訳が出ていたので、買って読みました。ご存じない方のために説明すると、これはレイモン・クノーが、バス停で男を見かけ、そして二時間後に別の広場でまたその男が、だれかから服装アドバイスを受けているところに出くわす、という出来事を99通りの書き方で描いてみました、というもの。 通して読むというよりは、パラパラ読んでおもしろがるたぐいの、思

    クノー『文体練習』:アイデア勝負の文体模写。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ショルカル『エコ資本主義批判』:バーカ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    エコ資主義批判―持続可能社会と体制選択 作者: ショラルショルカル,Saral Sarkar,森川剛光出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2012/11メディア: 単行購入: 1人 クリック: 328回この商品を含むブログ (3件) を見る エコロジー的社会主義なんだって。バーカ。もはやエコロジー的にも経済成長は持続不可能なので、そこから撤退してエコロジー的な社会主義にすればいいんだって。バーカ。社会主義は資源開発の国有化で資源開発による公害その他外部性を内部化していたから環境問題は起きえないし、自然保護も重視していたんだって。バーカ。どこに目をつけてるんだよ。 エコ社会主義は、経済の収縮を目標にかかげ、政府が欲求の削減と単純化という政策を意識的に一貫して追及するんだって。バーカ。第三世界も成長させずに低い生活水準のまま持続可能な状態に移行させるんだって。バーカ。恥知らずのバーカ。そし

    ショルカル『エコ資本主義批判』:バーカ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/11/19
    定期的に挿入されている「バーカ」という単語を見るたびに笑ってしまう。
  • ソローキン『青い脂』:お下劣瞬間ゲイ小説で歌い上げる文学の確信 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    青い脂 作者: ウラジーミル・ソローキン,望月哲男,松下隆志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/23メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 393回この商品を含むブログ (54件) を見る 昔の人は、たかが小説のヤワなエッチ描写ごときで発禁だ裁判だと大騒ぎしたもんだが、モロ出しエロ動画がネットでいくらでも見られる現在、もう小説ごときで、下品だエロだ低俗だと騒ぐ時代ではありませんわオホホホホと思っていたところに降って湧いた衝撃作。笑っちゃうくらいのお下劣お下品全開ぶりでありながら(いやまさにそれ故に)いまどき文学への希望と確信を力強く語るという、時代錯誤なのに目新しく、古くさいのに新鮮な代物がこのソローキン『青い脂』だ。 未来ロシアの研究所でスカトロ両刀づかいの変態どもが中露混合の悪態をつきつつ、文学クローンを作って小説を書かせ、謎の物質「青脂」を生

    ソローキン『青い脂』:お下劣瞬間ゲイ小説で歌い上げる文学の確信 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 呉・樫田著/金川訳『精神病者私宅監置の実況』:すごい。大正期のキチガイ座敷牢の実態調査を現代語で! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    【現代語訳】呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況 作者: 金川英雄出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2012/09/14メディア: 単行購入: 36人 クリック: 943回この商品を含むブログ (7件) を見る 90年前の大正時代にはすでに精神病者に対応するための法制度もある程度はあったし、精神病院なんてものもあったわけだが、むろんみんながそこに入れたわけではなく、相当部分の精神病者――ボケ老人もかなりいるが、25-40歳くらいが大半――は家族が座敷牢を作ってそこにぶちこむしかなかった。その実態を調査したもの。著者の呉秀三は東京帝国大学の医学部の先生。精神病で呉というと、どうしてもドグラマグラを連想してしまうんだけれど、そういう関係はどうもないみたい。 あちこち農村に分け入ってはその実態を淡々と書いており、その収容されている座敷牢の平面図、患者の状況その他がひたすら記録されている

    呉・樫田著/金川訳『精神病者私宅監置の実況』:すごい。大正期のキチガイ座敷牢の実態調査を現代語で! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • シェンク『天才を考察する』:天才は努力の結果という最近多い本だが、「ベルカーブ」へのまぬけな言及で大幅減点。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    天才を考察する―「生まれか育ちか」論の嘘と当 作者: デイヴィッドシェンク,David Shenk,中島由華出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/09メディア: 単行購入: 1人 クリック: 112回この商品を含むブログ (11件) を見る ぼくがしばらく前に訳した『非才』やグラッドウェル『天才』と同じことを書いた。生まれつきの天才なんていなくて、みんな努力の結果で、遺伝と環境の両方がきいてくるんだ、という話。つまり、あなたもぼくも、ベッカムになれたし、将棋の名人にも大金持ちにもアキバ48のセンターにもなれたはずなんだけど、努力が足りなかったのよというわけ。 遺伝は何の関係もないというタブララサ説から、やっぱ遺伝も効いてるよ、という話がピンカーなどで普及してきた。そのさらに反動で、いや遺伝よりはその後の訓練その他がずっと効いてるんだ、という説がどっと出てきたのが書を含め最

    シェンク『天才を考察する』:天才は努力の結果という最近多い本だが、「ベルカーブ」へのまぬけな言及で大幅減点。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 松谷『ギャルと不思議ちゃん論』:労作ながらジャンル内だけに閉塞 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ギャルと不思議ちゃん論―女の子たちの三十年戦争 作者: 松谷創一郎出版社/メーカー: 原書房発売日: 2012/08メディア: 単行購入: 22人 クリック: 876回この商品を含むブログ (19件) を見る サブカル内での棲み分けや派閥の抗争、重なり具合に関する、半ば自虐的、半ばナルシスティック、半ば自己参照的な論というのはたくさんある。おたくとナードとギークとジョックとゴスとパンクとチア系といじめっこといじめられっ子の相互力学は、アメリカの高校ドラマの永遠のテーマだ。 なぜそれがドラマのテーマとして成立するかというと――そのドラマの想定視聴者は全員、その力学内に身をさらしたことがあるからだ。だからそれを戯画化し、誇張し、細部を捉え、定式化すると「ああ、あるある」「そう、ああいうヤツ、いたよねー」という共感の基盤となる。 でも、それは基的には意匠だ。ドラマがドラマとしておもしろくなり

    松谷『ギャルと不思議ちゃん論』:労作ながらジャンル内だけに閉塞 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • へーリング&シュトルベック『人はお金だけでは動かない』:行動経済学や幸福研究などの成果紹介で、数多い類書から傑出はしていないが、よくまとまっている。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    人はお金だけでは動かない―経済学で学ぶビジネスと人生 作者: ノルベルト・ヘーリング,オラフ・シュトルベック,大竹文雄,熊谷淳子出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2012/08/27メディア: 単行購入: 2人 クリック: 202回この商品を含むブログ (5件) を見る 最近たくさん出ている、行動経済学や幸福研究などの知見を使って、人間が必ずしも金銭欲得ずくの完全合理的に動くわけではないという話をあれこれ紹介した。かなり多くのトピックをカバーしていて、そうしたの中では決して悪いものではない。要領もいいと思う。こうしたを読んだことがなければ、手に取ってみても損はない。よいだと思う。 が…… この手のをすでに読んだことがあれば、「またか」という部分が多々ある。最後通牒ゲームで、人は自分が損をしても不公平(だと感じる)を拒否するので、完全合理的ではありません、人はお金が増

    へーリング&シュトルベック『人はお金だけでは動かない』:行動経済学や幸福研究などの成果紹介で、数多い類書から傑出はしていないが、よくまとまっている。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/09/18
    (後半の文章を読んで)本当に日本は世界の先を行っているな。その先が天国なのか地獄なのか分からないけど。
  • 伊藤『屍者の帝国』:バロウズできましたか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (191件) を見る 病床の伊藤が行動記録クリーチャーのフライデーを使って書いた絶筆。その意味で、書は現実を模倣するものでもある。 伊藤はぼくの関心をかなりなぞっているし、今回も意識の話だというのは聞いていたけれど、まさかまったく別のぼくの関心のほうまで拾ってくれるとは思わなかった。バロウズの座右の銘:Language is a virus from outer space. あるいはもっと正統SFファンなら、アミガサタケの話とでも言おうか。ありがとう。でもそれを核に据えたために、当の創発的な意識のあり方についての考察が迂回されてしまったのは、ちょっと残念。が、一方でゾンビというものについて、非常におもしろい

    伊藤『屍者の帝国』:バロウズできましたか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/09/13
    山形浩生氏もcakesに連載を持っているのか。購読しようかどうか迷うな。
  • 冨田『ロシア宇宙開発史』:アメリカとはまったく別の技術の系譜 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ロシア宇宙開発史: 気球からヴォストークまで 作者: 冨田信之出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2012/08/31メディア: 単行購入: 7人 クリック: 383回この商品を含むブログ (3件) を見る ロシアの宇宙技術は、テーマとしてはマニアックながら、アメリカとは別の技術的な系譜として興味深いもの。書はその歴史を、帝政ロシア(いやそれ以前)からフルシチョフ失脚による最盛期の終わりまで、ロシア語文献を駆使しつつ詳細に記述。英語では標準文献のオーバーグ『軌道の赤い星』も邦訳がない現在の日では、この分野でほとんど唯一無二のではないか。一度回収され、満を持しての刊行はうれしい。 神話化しているロケットの先駆者ツィオルコフスキーの業績などもきちんと相対化し、技術政治と人間ドラマのからみあいの書きぶりも見事。コロリョフも限界はありましたか……。 いずれ書の先のミールや他国へ

    冨田『ロシア宇宙開発史』:アメリカとはまったく別の技術の系譜 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 小熊『社会をかえるには』:大風呂敷広げといて結論は小学校レベル。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    社会を変えるには (講談社現代新書) 作者: 小熊英二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/17メディア: 新書購入: 8人 クリック: 352回この商品を含むブログ (71件) を見る 書の主張は非常に単純で、社会を変えるためには、ちゃんと自分なりの発言をして声をあげ、デモとかにも参加したりしましょう、ということ。 それだけのために、なんでこんな分厚い(500ページ以上)が必要なのか。まず最初の部分では社会の現状説明なんだけれど、高度成長期から始まってオイルショックでポスト工業社会で、という話。ここで読者が受け取るメッセージはつまり、社会というのは経済に依存する、ということだ。社会を変えるには経済を変える、という話なのか……と思うと、後半になって延々原発の話になるんだけど…… それって関係なくね? いや、著者自身がそれは関係ないことを指摘しているんだ。原発がなぜやめられ

    小熊『社会をかえるには』:大風呂敷広げといて結論は小学校レベル。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 西田『新しい刑務所のかたち』:PFIを口実にした刑務所自体の改革 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    新しい刑務所のかたち -未来を切り拓くPFI刑務所の挑戦- (ShoPro Books) 作者: 西田博出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション発売日: 2012/06/28メディア: 単行購入: 4人 クリック: 113回この商品を含むブログ (1件) を見る 十年以上前、書のテーマとなる、公共施設の整備運営を民間に任せるプライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)制度の海外事例を調べたことがある。単なる民間事業委託ではない。事業の自由度を高め、民間の創意工夫の活用で、低コスト高サービスの提供がPFIの真骨頂だ。前例主義や形式主義、事なかれ主義のお役所がそうした自由度を容認するかが課題の一つとなる。 そうした自由度の最もなさそうな刑務所に、この仕組みが導入されたというのには驚いた。 だがそれは、嬉しい驚きではあった。著者はこのPFI制度の導入を機会に、刑務所自体の大幅な改

    西田『新しい刑務所のかたち』:PFIを口実にした刑務所自体の改革 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 三橋『昆虫食文化事典』:昆虫食そのものから、それをとりまく古今の文化まで網羅した力作。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昆虫文化事典 作者: 三橋淳出版社/メーカー: 八坂書房発売日: 2012/06メディア: 単行購入: 1人 クリック: 206回この商品を含むブログを見る 虫と言ってもしばらく前に欄で書評の出た快著『「腹の虫」の研究』は観念としての虫の話だったが、こちらは当に腹に入れる虫の話だ。ちなみに入門者には日のバッタの佃煮かラオスのコオロギ炒めが個人的にはおすすめ。イモムシ系はぼくですらハードル高いっす…… 閑話休題、昆虫料理は意外と多いが、このシリーズの前著『昆虫大全』は分厚さも網羅性も群をぬく一冊だった。しかもキワもの紹介に終わらず、各地の虫の正確な同定まで行い、実用性ばかりか専門性も高かった。 が、その続編の書はさらに踏み込み、世界各地の昆虫文化を扱う。料理法や味の分析だけではない。虫の捕まえ方、その職能の社会的地位、文化の基盤となる虫自体の分布や気候特性との関わりや、

    三橋『昆虫食文化事典』:昆虫食そのものから、それをとりまく古今の文化まで網羅した力作。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/08/14
    最近、昆虫(食)の話題をネットで見かける頻度が多くなった気がするが、どこかで流行っているのだろうか?
  • pha『ニートの歩き方』:エリートによるエリートのための本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法 作者: pha出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2012/08/03メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 16人 クリック: 1,642回この商品を含むブログ (99件) を見る 仕事も家庭もつまらない、ネットでだらだらして、人にたかって生きていこう、という。マンゴー『就職せずに生きる』とかだと、就職しなくてもなんか社会と自分にとって有益なことをやって生きていける、という内容だったけれど、これはそういうのもなく、とにかくニートとして生きていけばいいじゃん、という。 それですむならいいんじゃないの? ぼくはそういう恵まれた環境にはいなかったので、こういう安楽でぜいたくな暮らしはできないけど。こういうエリート層が可能なくらいには日は豊かだということがよくわかる。これを読んで救われる人も、いるのかもしれない

    pha『ニートの歩き方』:エリートによるエリートのための本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/08/08
    ノウハウが書いてあるわけじゃないのか。エッセーみたいなものか。
  • 米山『空き家急増の真実』:今後重要になる問題。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ 作者: 米山秀隆出版社/メーカー: 日経済新聞出版社発売日: 2012/06/02メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 25人 クリック: 563回この商品を含むブログ (11件) を見る 真実といっても、別に特別な真実はなくて、原因も対策もごく常識的。いや一瞬、「空き家急増の裏には、実は太平天国教団の陰謀が!」とかいうじゃないかという懸念が脳裏をよぎったが、そんなことはない。きわめて堅実でまっとうな。最近、高齢化とともにまったく利用の予定や見込みがない空き家が増えていて、それを何とかしないと治安面でも環境面でもいろいろ問題が起きるよ、という話を統計的なデータも使って整理しつつ、一部の自治体や他国での対応も見ながら、日で今後どういう施策を進めるべきかを簡潔に論じた。空き家はもちろん一軒家だけでなく、マンションなんかも含まれ

    米山『空き家急増の真実』:今後重要になる問題。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 豊川『群像としての丹下研究室』:「構想力」の具体的な中身を分析したおもしろい本 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    群像としての丹下研究室―戦後日建築・都市史のメインストリーム― 作者: 豊川斎赫出版社/メーカー: オーム社発売日: 2012/05/09メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 320回この商品を含むブログ (6件) を見る 建築家を語るは通常、造形デザイン話に社会文明観や哲学談義を接ぎ木する程度だ。書はそれを遥かに超える。書のテーマたる丹下健三が、通常を遥かに超える建築家だったせいもある。彼は個別建築に留まらず、都市、地域、国土設計にまで大きな足跡を残した。だがなぜそれが可能だったのか? 通常はこれを「壮大な構想力」という一言ですませてしまう。書の手柄は、その「構想力」の中身を詳細に示したことだ。丹下の構想力の背後には地域経済の数理統計分析や産業予測があり、それを造形に変換するための方法論の開発があったのだ。 それを支えたのは、東大の丹下研究室に集った人々だ

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  • 吉田編『変貌する聖徳太子』:聖徳太子信仰の変遷を描いて、それにともなう日本人の宗教観や聖人観を探ったおもしろい論文集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    変貌する聖徳太子 日人は聖徳太子をどのように信仰してきたか 作者: 吉田一彦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2011/12/08メディア: 単行購入: 4人 クリック: 243回この商品を含むブログ (2件) を見る 専門家が集まった論文集というのは、その業界の関心事だけに集中してそこから外への視点を持っていないために部外者が読むと歯がゆい思いをすることが多いんだけれど、これはそういうのがなくて非常にありがたい。 書は聖徳太子自体についての研究ではなく、その後いろんな聖徳太子にまつわる伝承(もちろん多くはインチキ)が日各地に登場したのを調べている。 論文的なものはほとんどが、事実関係を淡々と書いて、こんなことがわかりました、というもの。ネタが聖徳太子というおなじみのものなので、まあそうした事実関係だけでもそれなりにおもしろいし、「へえ、こんな変な伝承があったのか!」という驚きも

    吉田編『変貌する聖徳太子』:聖徳太子信仰の変遷を描いて、それにともなう日本人の宗教観や聖人観を探ったおもしろい論文集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 本郷『カブトムシとクワガタの最新科学』:メジャーでとっくに研究し尽くされてると思ったら!  - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書) 作者: 郷儀人出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2012/06/29メディア: 新書購入: 9人 クリック: 210回この商品を含むブログ (12件) を見る 今更ネタがあるのかと思って半信半疑で読み始めたら、これがおもしろい。カブトムシとクワガタなんて小学生のあこがれだし、すでに研究し尽くされているかと思ったら、まだまだなんだって。 特に書の大きなテーマは、カブトとクワガタのケンカ! もう小学校時代の定番のネタだけれど、なかなか(テレビでは翌出るが)実際には目にできないもの。子供は、単にカブトやクワガタが弱ってるからだろうと思ってたんだけどさにあらず。遺伝的に、相手の体の大きさを見て勝ち目がない相手とは闘わないようになってるんだって。そして実際のケンカの場を見るのもむずかしいので、あまり研究されていない。

    本郷『カブトムシとクワガタの最新科学』:メジャーでとっくに研究し尽くされてると思ったら!  - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/06/29
    おもしろそう。
  • 市野川『社会学』:後書きで書いている通り、全部書き直してほしいと思う。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    社会学 (ヒューマニティーズ) 作者: 市野川容孝出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/06/08メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 120回この商品を含むブログ (1件) を見る これが社会学業界の中の人に向けた、社会学の基論点整理ならこれでもいいんじゃない? その場合、これはぼくとは関係ないなので読んだのは大いに時間の無駄だった。 そうでないなら――社会学業界外の人に読んで、社会学の問題意識とかを少しわかってもらおうというなら、まったくダメだと思う。いきなり、コントがこういってそれに対してデュルケムがどうした、そこで特に医療の話についてはベルナールがあれこれ、とわずか数ページほどの間に、なんだかすさまじい個別談義に落ちていって、結局社会学ってどういうもんで何がしたいのか、というのがちっとも見えず、チマチマした個別議論の中で、こんなこともできるかも

    市野川『社会学』:後書きで書いている通り、全部書き直してほしいと思う。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」