慶應義塾大学環境情報学部教授。ユーザーインターフェース研究者。富士通、ソニー、アップルなどを経て2009年より現職。iPhoneの日本語入力システム(フリック入力)や予測型日本語入力システム「POBox」の発明者として知られる。 増井 今日はキーボードを使った入力をテーマに話をしていきたいと思います。私はこれまでスマートフォンなどのUI(ユーザーインターフェース)の開発にかかわってきましたが、キーボードと言えば、日本のパソコンで最も普及している「QWERTY配列」に関するご著書もある安岡さんにまずはお話しいただきたいのですが。 安岡 端的に言えば、QWERTY配列はたまたまできたものなんです。ものの本にはクリストファー・レイサム・ショールズが発明したと書かれていたりするのですが、19世紀にいろいろな人たちが試行錯誤するなかで特許がとられ、普及していったというのが事実です。 じつは、タイプラ