<今年の大統領選はトランプが共和党の筆頭候補になるなど予想外の展開で進んでいる。既存の支配階層「エスタブリッシュメント」への有権者の強い反発が広がっているためだ。実はこうした現象の裏には、アメリカ政治をコントロールする保守系資本の策略があった> 2016年の大統領予備選では、政治評論家やジャーナリストがまったく予期しなかったことが起きている。テレビのリアリティ番組で有名になったビジネスマンのドナルド・トランプと、社会活動家の歴史が長く、無所属で知名度がほとんどなかった左寄りリベラルの上院議員バーニー・サンダースが熱狂的な支持を得ている。 以前、別のメディアでも書いたが、この現象の背後には、「収入格差」というアメリカの社会問題がある。現在のアメリカでは、上位0.1%に属する少数の金持ちが持つ富は、下方90%が持つ富の合計と等しい。そして、70年代にはアメリカの過半数だった「中産階級」が消えつ