銃撃戦を受けて現場付近で警戒するレバノン軍。周辺では銃声が響いていた=レバノン北部トリポリで2012年7月28日、前田英司撮影 【トリポリ(レバノン北部)前田英司】シリアの内戦化が隣国レバノンの宗派対立の火に油を注いでいる。シリア反体制派を支持するイスラム教スンニ派とアサド大統領の出身母体のアラウィ派が衝突を繰り返す一方、アサド政権と蜜月関係のシーア派民兵組織ヒズボラが政権擁護に暗躍しているとの観測も飛び交う。シリア主要都市での戦闘激化で大量の難民も押し寄せて、レバノン情勢はシリアの混迷に引きずられて流動化の様相を深めている。 銃声が断続的に響き渡った。28日朝、レバノン北部トリポリの一角。現場は通りを挟み、スンニ派とアラウィ派の居住区が対峙(たいじ)する。双方は30年以上前のレバノン内戦時から対立する因縁の関係だが、ここに来て、シリアの内戦化で緊張が激化。「シリアで新たな『虐殺』でも起き