孫社長の相対的な持ち分の高まりは、ソフトバンクGが昨年11月から継続的に行ってきた自社株買いの影響がある。同社は10-12月期に約9000万株の自社株を取得し、昨年11月と今年8月に設定した合計1兆4000億円の枠を使い切った。 11月の決算説明会からプレゼンテーションと質疑応答の役目を後藤芳光最高財務責任者(CFO)に譲り、表舞台から一歩引いたが、孫社長の筆頭株主としての存在感は一段と増した格好だ。会社法では、定款の変更や事業譲渡など重要事項を決める特別決議には出席者の3分の2以上の賛成が必要。議決権の3分の1以上を持つ株主が反対すれば、否決される。 同社長の持ち分増加は経営陣による自社買収(MBO)がより現実に近づく可能性を示唆し、徐々に株式を買い戻す「スローバーン」バイアウトは一つの選択肢になり得る。3分の2以上の株式を取得した場合には、株式併合により少数株主を排除することができる。