今回の人事で改めて考えさせられたのは、経済学者の地位である。 経済学者とは何なのか。 前回のコラムでは、渡邊博史氏(元財務省財務官)がいかに最適な候補者か、という話をした。経済学者について言えば、伊藤隆敏氏(東京大学教授)以上の最適な候補者はいない。彼も渡邊氏と同様に、麻生政権時の5年前に候補に挙がりながら、国会で同意が得られなかったわけであるから、現在の自民党、安倍・麻生政権にとっては、本来は問題ないはずだ。 伊藤教授は、なぜ選ばれなかったのか 日本のマクロ金融の分野での経済学者で、国際的に通用するのは、伊藤氏だけと言っても過言ではない。とりわけIMFでの勤務経験もあり、副財務官としても活躍し、組織で働く経験もある。副財務官当時は、伊藤氏の学者、IMFエコノミストを中心とした国際金融界における幅広い人脈に、当時の多くの財務官僚も舌を巻いたくらいである。 さらに、金融緩和には積極的であり、