2015年01月24日15:24 カテゴリ科学/文化 カルトを合理的に理解する イスラーム国のような狂気のカルトを合理的に理解することは常識的には不可能だが、まったくナンセンスな組織があれだけの規模になるはずがない。そこには彼らなりの合理性があるはずだ(この合理性は「論理的に矛盾していない」という意味で、望ましいという意味はない)。 本書は、ローマ帝国に弾圧されたカルトだったキリスト教が、逆に国教になるまでに成長した原因を、合理的に理解しようと試みる。もちろん史料が限られているので、多くは推測の域を出ないが、マクニールも指摘しているのは、疫病の影響である。彼はこの時期に人口の1/4から1/3が疫病で死んだと推定している。 疫病は、死の危険という点では戦争と同じだが、その原因をコントロールできない。予防も治療も(当時の医療技術では)不可能なので、残された救済の方法は来世で幸福になれると信じる