「サービスが先、利益は後」。小倉昌男の有名な言葉だ。運輸業の常識を破る宅急便を成功させるには、まず消費者の利便性を最優先しなければならない。そうすれば必ず消費者に支持されて利用が増え、利益は後からついてくるという考えである。またフェアな行動を何よりも重視していたことでも知られている。 しかし、こうした小倉のモットーと相違する事実が最近発覚した。「クール宅急便」のずさんな温度管理の問題である。ヤマトホールディングス傘下の事業会社であるヤマト運輸が売り物にしているサービスである。うっかりすると、タガが緩んでしまう組織管理の難しさをまざまざと見せつけた。 ずさんな温度管理より深刻な組織上の問題 この問題の本質を考えると、大和運輸(現ヤマトホールディングス)社長として宅急便を創始した小倉の凄みが皮肉にもよく理解できる。朝日新聞が10月25日付朝刊で報じた「常温で仕分け」と11月5日に報じた「配達も