今年の選挙でとにかくよく耳にする言葉が「アンチ・エスタブリッシュメント」だ。統計的なデータは手元にないので、はっきりとはいえないが、2008年の大統領選挙の際も、2012年の際も、この表現をこんなにも頻繁に耳にした記憶はない。 試しにニューヨークタイムズ紙のデータベースでこの表現を検索してみると、2008年は合計20件、2012年は合計94件、2016年はまだ二ヶ月強しか経っていないが、すでに69件もヒットする(3月11日検索)。しかも、2008年はよく見ると、選挙と直接関わるものは20件中6件しかない。しかし、2012年になると、大統領選挙に出馬したギングリッチ候補との関わりでしばしば言及されている。当時、ギングリッチ候補は、アンチ・エリート、アンチ・エスタブリッシュメント候補と評され、具体的には果敢なメインストリーム・メディア批判を行った。 しかし、「アンチ・エスタブリッシュメント」が