宮城県名取市と岩沼市にまたがる沿岸地域は、津波に浸水しながらも早期復旧し、復興物資輸送の拠点となった仙台空港直下になることもあり、東北地方に来る度に、もっとも復興が進んでいる地域という印象を受けていた。2市とも震災がれきの撤去完了も早かったし、復興計画の策定も早かった。海岸堤防本復旧工事も、他地域にさきがけて国土交通省直轄ですでに着工され、2015年度完成を目指している。 だが、2月に訪れてみるとスピード復興のスケジュールにやや異変が生じているように感じた。 旧堤防と大差ない高さ 国交省の威信をかけて着工された32kmの海岸堤防の本復旧工事の様子は壮観だ。だが、近づいてみると天端高は7.2mであり、津波で破壊された旧堤防より1mしか高くない。越波しても簡単に壊れない粘り強い構造にしたというが、100tもあるコンクリート構造物が押し流された津波の被災状況を見ると、今回と同規模の津波が来襲すれ