白紙撤回された新国立競技場の旧整備計画で、国際デザイン競技の審査委員を務めた建築家の内藤廣氏は、ザハ・ハディド・アーキテクツの誠実さを認め、その仕事を擁護する。設計の途中段階でも設計チームと連絡は取っていた。内藤氏が「なぜザハ・ハディド事務所が舞台から退場させられたか」を明かす。(インタビューは9月16日に実施) ――新国立競技場の国際デザイン競技の審査委員として参加して、委員会では最終的にザハ・ハディド・アーキテクツのデザインを選定した。 内藤:おかげでたくさんの友だちを失った(笑)。新国立競技場はナショナルプロジェクトなので、国民から歓迎されてつくられる建築であるはず。しかし、旧整備計画はあまりにも多くの「アンチ新国立」が声を上げてギクシャクした。 僕はザハ・ハディド案に最後まで賛成しなかった1人だった。加えて、審査委員長は安藤忠雄さんなので、これまで表立って話をしてこなかった。しかし