(英エコノミスト誌 2010年3月20日号) 気候変動への取り組みは、科学的根拠が確かだからではなく、逆にそうでないからこそ正当化される。 米ワシントンでは、半年も棚上げされていた気候変動対策法案が息を吹き返す兆しが見えている。3月中旬、複数の上院議員と業界団体が、炭素の排出規制を義務化するための妥協案について協議を行った。 しかし、世界中の環境活動家たちが20年も前から米国の行動を待っていたにもかかわらず、誰一人、今回の動きを喜んでいない。たとえこの協議から法案が成立したとしても、それはかつて望まれていた内容の抜け殻にすぎないものとなるからだ。 その1つの要因は、コペンハーゲンでの混乱にある。多大の努力が払われたのに、会議は成果をほとんど上げられなかった。景気後退も一因となっている。企業経営者は、地球についてどれだけ心配していようとも、自社の業績の方を重視するものだ。厳しい時期であればな