(2010年11月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 11月第1週、ワシントンは政治の手詰まり状態を巡る話題で持ちきりだった。だが、投資家が政策の無為に苛立っている一方で、別の種類の行詰まり状態が重要性を増してきている。住宅および住宅ローン市場で起きているものだ。 夏場以降、米国の住宅差し押さえ手続きの不正について、驚くべき新事実が次々と明るみに出ている。最も注目すべきなのが、いわゆるロボサイナー(担保権実行命令に自動的に署名する従業員)が担った役割だ。 差し押さえ手続きの不正が発覚、米銀に多額の損失 これは、銀行に大きな損害を与える。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の試算では、米国の銀行は今後生じる罰金を払うのに43億ドルの費用がかかるほか、投資家から欠陥ローンの買い取りを余儀なくされることで250億ドルの損失が発生、政府機関からのローン買い取り費用として130億ドル