いつの時代も、創造性の核には個人の「発想」があった。「発想」をかたちにするには技術のたすけが必要だが、情報通信技術の発展は、そのプロセスを大きく変えた。「発想」にはじめから、技術がビルトインされるようになったのだ。そうした発想のあり方を、かりに「数理的発想法」と名づけてみた。 第三回目にご登場いただくのは『数学ガール』の作者、結城浩さん。「フェルマーの最終定理」や「ガロア理論」といった難解な題材、しかも作中に数式をたっぷり盛り込んだ読み物にもかかわらず、 最新の第五巻までで、のべ20万部を超えるヒット作となっている。 古来、多くの人を惹きつけてきた数学の魅力はどこにあるのか。その鍵をにぎる今回のキーワードは、〈対話〉である――。 『数学ガール』という、いっぷう変わった「読み物」がある。男子高校生の「僕」を主人公に、同級生のミルカさん、一学年下のテトラちゃん、従姉妹で中学生のユーリなど、文字