北九州の暴力団「工藤會」はなぜ暴走した? 工藤會はなぜ、かくも、暴走するにいたったのか。 「もともと、北九州市で工藤會が巣くう地域は、警察と暴力団のどちらを市民が支持するか、分かれるようなところだった。学校で子供が工藤會について『かっこいい。おれも将来、組に入る』と言うような土地柄だ。だから、市民の協力が得られず、工藤會の摘発が進まない。それをいいことに工藤會は横暴の限りを尽くす」 九州に勤務経験のある元警察庁幹部はこう語った。一種の「風土」論だ。 東京から見ていた間、筆者も「風土論」に一定の説得力を感じていた。しかし、実際に捜査現場を取材すると、違う気がした。そもそも北九州市民が聞けば、怒り出すだろう。 福岡県警暴力団対策部長として「頂上作戦」の指揮をとった千代延晃平・群馬県警本部長は「風土論」にこう反論する。 「工藤會がヤクザとして特殊なわけではない。トップと実行犯の個性の組み合わせで