国内の原発には、原子炉冷却の「命綱」とも言える電源を長時間失う事態への対策が用意されていないことが判明した。一方、原子力安全基盤機構が昨秋公表したシミュレーションによると、電源を喪失し、冷却機能を失った原子炉は、わずか1時間40分ほどで核燃料が溶け出す炉心溶融を起こすなど、短時間で危機的状況に陥ることが指摘されていた。最悪の事態が予想されていながら、対策を怠っていた国や電力会社。設計や審査のあり方が見直しを迫られるのは確実だ。【須田桃子、河内敏康、西川拓、足立旬子】 原子力安全基盤機構は経済産業省所管で、原子力施設の安全性を研究する独立行政法人。10年10月、7タイプの原子炉を対象に、地震時の主な過酷事故の流れをシミュレーションした結果を報告書にまとめた。 福島第1原発の2~5号機と同じタイプの沸騰水型軽水炉(出力80万キロワット)について、電源を喪失し、原子炉への注水ができなくなり炉心の