本書は、マッキンゼーの日本支社長からカーライル・ジャパンの共同代表を経て、現在、早稲田大学ビジネススクールの教授を務める平野正雄氏の最新刊である。 平野氏がコンサルタントとプライベートエクイティファンド経営者としての経験を通じて学んだ、過去30年の間に日本企業の経営が世界からどう乖離してきたかという歴史と今後の処方箋が丁寧且つ論理的に語られている。 本書のポイントを短くまとめると、今、企業経営における世界の最前線は、日本人がステレオタイプに抱きがちな「株主価値至上主義」の先を行っており、資本市場と企業との関係について言えば、最早、経営の規律の拠り所を株主価値には求めておらず、自らのビジョンと理念に基づいた経営で業績を高め、新たな価値観を提示することで人材を引きつける、次の段階に移行しているということである。 日本ではいまだに多くの企業で「いい会社(good company)であり続けること
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