話題となっていた村上春樹さんのエルサレム賞受賞講演について書こうと思っていながら、つい忙しさにかまけて時期を逸し、書きそびれてしまったなと思っていたら、きょうの毎日新聞の夕刊とサイトに講演の英文と日本語訳(夕刊は日本語訳だけですが)の前半部分が載っていました。残りは火曜日に載るようですが、この機会に書いておこうと思います*1。とはいっても、受賞講演のテキストは、共同通信エルサレム支局長の長谷川健司特派員が、エルサレム賞主催者から提供を受けたテキストを基に、実際の講演での修正部分も録音を使って再現したものを使うことにしますが*2。日本語訳は拙訳です(といってもまずい訳という意味ではありませんよ)。 さて、レヴィ=ストロースの「真正性の水準」の帰結のひとつは、人は社会の二つの層を二重に生きているというものです。すなわち、近代になって地球上のあらゆるところで非真正な社会が真正な社会を包摂するよう