新左翼の遺産―ニューレフトからポストモダンへ この商品の他のレビューをみる» 評価: 大嶽 秀夫 東京大学出版会 ¥ 3,360 (2007-03) 左翼思想とポストモダニズムの親和性を調べていて行き当たった本。 著者によれば、新左翼がポストモダニズムを準備した、あるいは何らかの連続性が見られるという。ブント(60年安保のとき全学連を指揮していた学生党)の言動の中にすでにポストモダニズムの芽が見られるという。ポストモダニズムは、近代社会が自明視してきた様々な前提を徹底的に相対化する思想運動なので、ブントが文字通り「ポストモダン」思想の担い手であったわけではない。ブントの主張もマルクス主義(すなわち近代)のボキャブラリーの中でなされているし、著者の議論の中では、相対主義的な臭いはほとんどしない。むしろ、ブントの活動家の言動からは、無邪気に自明性の世界に安住している印象すらうける。著者によれば