2014年5月7日、中国海警の船舶とベトナム海上警察の船舶が、南シナ海の西沙諸島周辺海域で衝突した。中国及びベトナム双方が権利を主張する海域で、中国の石油企業が掘削作業を開始したことが原因である。これに対してベトナムが掘削作業阻止のために船舶を派出し、中国船がこれを排除しようとしたのだ。 南シナ海は中国にとって死活問題 問題は、中国船がベトナム船に体当たりしたということではない。船舶が武器を使用せずに船舶の近接を阻止するために船体をねじ込むといった方法は採り得る行動だとも言える。現在入手し得る情報だけでは、衝突がどのようにして生起したかを理解することは難しい。 問題は、中国企業が係争海域で実力行使に及んだことだ。中国が海警の船舶や海軍の艦艇を含む大量の艦船を送り込んだのは、ベトナムが強硬な妨害活動を行うことを予期していたからだと言える。それにもかかわらず、中国企業は採掘作業を強行したのだ。