大勝した2004年の参議院選挙以来、民主党は公的年金改革を総選挙のたびに公約に掲げてきた。そして、民主党とは思惑を異にしながらも、経済財政諮問会議の民間議員、日本経団連や経済同友会などの経済界、連合、「改革論者」を自認する学者、さらに日本経済新聞、一部の自民党議員などが声をそろえて主張してきたのが、基礎年金の全額税方式化だった。ところが、その税方式への移行が現実的に不可能であり、かつ税方式化の最大の目的とされていた未納・未加入者対策にも効果が期待できないことが、最近明らかになった。 その事実が判明したのは、5月19日に開催された社会保障国民会議の所得確保・保障分科会の場だった。同分科会で「公的年金制度に関する定量的なシミュレーション」が公表され、基礎年金を全額税方式化した場合の将来の国庫負担や保険料負担の見通し(マクロ試算)および家計および企業に与える影響(ミクロ試算)が示された。そして