読売が不毛な「出版妨害訴訟」 巨象のような大新聞がアリのごとき出版社の言論・表現の自由を踏みにじるとは─。 2012年6月号 LIFE 作家の江上剛氏は、本名を小畠晴喜といい、高田馬場や築地の支店長も務めた第一勧業銀行(現みずほ銀行)の銀行マンだった。 彼が文筆業の道を歩き始めたころ、出版社の編集者に戒められたことがあったという。 「小畠さん、会社を辞めてはいけませんよ。銀行に勤めながら書くのはいいでしょうが、辞めて食べていくのは大変だから」 その編集者は、プロの物書きの生活がいかに厳しいものであるかを承知していたのだろう。そして、活字文化の未来が必ずしも明るいものではないことや、金融界にいる限り、小畠氏が一目置かれる存在であることも。 「補償はお金で」と申し入れ 小畠という名前が金融界やマスコミに知れ渡ったのは、第一勧銀が総会屋に巨額の利益供与をしていたことが発覚した1997年のことであ