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ブックマーク / sessai.cocolog-nifty.com (38)

  • 大阪維新「船中八策」の「馬脚」 - 雪斎の随想録

    ■ 大阪維新の会の「政策綱領」が世に出た。 これを「船中八策」と呼び習わしたのは、率直に愚昧、軽薄の沙汰であろう。 雪斎は、坂龍馬に自分を仮託しようという政治家を信用しないことにしているので、これが橋下徹大阪市長の意向での命名でならば、その時点で橋下市長に対する評価は「暴落」である。龍馬は、「設計図は書いたかもしれないが、実際の建築には携わらなかった」人物である。「体制を考えた人々」と「体制を作った人々」の間には、途方もない開きがある。 橋下市長の「失速」は、意外と早かったようである。こういう政策綱領を出してくること自体、彼らが、きちんした政策吟味をしていないことを暴露している。 ◇ 統一性の薄い全体像 「船中八策」は、「それを、どのように実現するか」という考慮が、まったく働いていない文書である。首相公選制度の導入には、憲法改正の手続きが要る。先に、参議院廃止と打ち上げてしまった後で、参

    大阪維新「船中八策」の「馬脚」 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2012/02/17
    坂本龍馬。「「反自由主義」的」。大久保利通。西郷隆盛。小松帯刀。木戸孝允。司馬遼太郎。土方歳三。近藤勇。ぶこめも。
  • 政治における「敵」の三つの類型 - 雪斎の随想録

    ■ 前のエントリーで、民主党青森県連代表の「反革命分子」発言を批判した。 雪斎が小泉純一郎時代の「構造改革」を支持していたことに対する皮肉の意味合いもあるのか、「それならば、政敵を抵抗勢力と呼んでいた小泉は、どうなのか」という反応がある。 結論からいえば、「全然、同じではない。違うであろう…」というところである。 政治という営みの質は、「友」と「敵」の峻別にあることを指摘したのは、カール・シュミットだった。 忘れていけないのは、シュミットは、その「敵」を三つに分類していたことである。。 どのように分類したのか。 ① 在来型の敵 ② 現実の敵 ③ 絶対の敵 ①は、ゲームにおける「敵」のイメージである。サッカーのチームが、相手チームの監督を「敵将」お呼ぶイメージである。だから、「敵」に対する憎悪の感情は、ほとんどない。戦争が終われば、「敵」とも握手して別れる。 ②は、自分の安全や利害に対して

    政治における「敵」の三つの類型 - 雪斎の随想録
  • 「反革命分子」の思考 - 雪斎の随想録

    ■ 鳩山内閣には、懸案を処理していく「推進力」は、もはやない。 普天間基地案件の決着は、雪斎が読む限り、次の三つのシナリオしかない、 ① 鳩山総理が、苦渋の決断を演出して、「現行案」に近い線での落着を図り、政権の維持を狙う。 ② 鳩山総理が、自分の首と引き換えに、「現行案」に近い線で落着させる。 ③ 普天間移設が、実質上、頓挫する。 この件jは、あとで、あらためて書くことにしよう。 ところで、民主党のウェブ・サイトを見ていたら、次のニュース記事には、腰を抜かした。 ○ 小沢幹事長「民主党青森県連躍進パーティー」で挨拶 腰を抜かしたのは、次の記述である。 主催者を代表して、横山北斗県連代表が「昨年の総選挙では、まさに革命と呼ぶにふさわしい出来事として、私たちは政権交代を実現したが、革命の後は、反革命が起こる」とし、「今、民主党を批判する反革命分子に負けずに、この危機を乗り越えて行かなければな

    「反革命分子」の思考 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2010/04/29
    横山北斗。ハンナ・アーレント。アナトール・フランス。正義の戦争より不正義の平和の方が余程まし、とはいえ。
  • 衝撃の「復帰」? - 雪斎の随想録

    ■ この記事には、率直に腰を抜かした。。 □ 小泉元首相、政界復帰を決断 東奥新報 2010年4月9日 05:00 自民党の小泉純一郎元首相が、次期衆議院議員選挙に立候補する意向を固めた。八日夜、次男の進次郎議員が東京都内で明らかにした。近く、自民党の谷垣禎一総裁、大島理森幹事長と会談し、正式に決定される見通しである。比例代表南関東ブロックからの立候補が有力されている。 小泉氏の「復帰」表明によって、政界は激震に見舞われそうだ。 …と書いたが、この記事は、「捏造」である。「東奥新報」なる新聞社も存在しない。故に、「小泉元総理の 政界復帰」という話も、事実無根である。「一週間遅れのエイプリル・フール」だと思えば、よろしいであろう。 雪斎が尊敬する戦後の政治家は、既に書いたとおり、シャルル・ド・ゴール、ウィンストン・チャーチル、吉田茂である。この三人の政治家に共通するのは、何か。それは、「一度

    衝撃の「復帰」? - 雪斎の随想録
  • 政策における「具体性」の罠 - 雪斎の随想録

    ■ 八ッ場ダムの扱いは、何故、これだけの騒動になっているのか。 この騒動の発端にあるのは、「マニフェストに余りにも具体的なことを書きすぎた」ということにあるのであろう。 もし、マニフェストに、「ダム建設は、建設中のものも含めて全面的に見直す」とだけ書いて、具体的なダムの名前を書いていなかったら、具体的な手順は、その情勢に応じた判断に依るということで逃げることができたはずである。民主党は、具体的な名前を明記してしまった手前、引っ込みが付かなくなったのである。 前原誠司国土交通大臣は、「中止」方針を明言したようである。これは、「引っ込みが付かなくなった」立場としては、当然の判断であろう。前原大臣は、どれだけ地元自治体や住民の「怨嗟」の声を浴びようとも、「中止」方針を貫徹しなければなるまい。そうでなく、「中止」方針を撤回すれば、「早速、マニフェストを反故にするのか」という別の批判が、飛び出すこと

    政策における「具体性」の罠 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/09/28
    「建設途中のダムならば、たとえば鳩山総理の地元の北海道にも、小沢一郎幹事長の地元の岩手県にも、あるわけである。これらの「民主党議員の地元のダム」は、どうするのか。後々、この扱いは、追及されそうな」
  • 「負けっぷりのよい」負け - 雪斎の随想録

    ■ 解散、総選挙の日程が決まったようである。 東京都議会議員選挙の結果は、民主党の「一人勝ち」である。無党派層ともかく、自民党支持層も、大挙して民主党に回ったようである。特に注目すべきこととして、議席一の選挙区では、民主党系が7戦6勝である。 故に、このままの趨勢でいけば、「郵政選挙」の逆の結果が次の衆議院選挙で出ても不思議ではあるまい。東京都25選挙区の大勢を民主党が押さえるという展開である。全国レベルでいえば、都市部は、あらかた民主党の手に落ちる。2000年選挙の再現である。 雪斎は、いっそのこと、自民党150、民主党250くらいの結果で、自民党は負けてもいいのではないかと思っている。吉田茂は、敗戦直後、「負けっぷりをよくしなければならない」と語った。麻生太郎総理ならば、祖父の遺訓よろしく、「負けっぷりのよい」負けを演出してくれそうである。「負けっぷりのよい」負けの後ならば、新生への芽

    「負けっぷりのよい」負け - 雪斎の随想録
  • 政治に関する四題 - 雪斎の随想録

    ■ 此度の選挙は、「麻生太郎 vs 鳩山由紀夫」の対立構図で行われる。 しかし、来ならば、此度の選挙は、「小泉純一郎 vs 民主党」の構図で行われるべき選挙ではなかったか。 つまり、それは、小泉純一郎元総理が、「郵政」を含む「構造改革」路線への評価を問う選挙ではなかったのか。 そうならなかったのは、自民党が総裁任期を二期四年と区切ったからである。 自民党政権である限りは、こういう政党の都合で総理の任期が区切られる事態が生じる、同じような事例が中曽根康弘元総理のときもあった。中曽根元総理も、異例の高支持率の中で勇退したのである。 だから、小泉元総理の後の三代の宰相は、「なる必要もなかった」宰相だったということになる。 麻生太郎総理に至っては、目立った失政と呼べるものがないにもかかわらず、あれほどの苦境におかれている。今のままでは、非難轟々の中で政権の座を去ることになりそうだが、少なくとも、

    政治に関する四題 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/07/16
    「少なくとも、政権発足直後の「経済危機」の大津波の中で、「経済立国・日本」を沈没させなかったということだけは、後世、功績として語られよう」
  • 北方四島「面積等分」返還論 - 雪斎の随想録

    ■ これは、単純に考えないほうがよい案件であろう。 □ <「3.5島」返還>谷内代表の発言…政府、火消しに躍起 4月17日23時21分配信 毎日新聞 政府は17日、谷内(やち)正太郎政府代表(前外務事務次官)が毎日新聞のインタビューで北方領土問題を巡って「(四島ではなく)3.5島返還でもいい」と発言したことについて、「個人的見解」(河村建夫官房長官)として、四島の日への帰属を確認する政府方針に変わりがないことを繰り返し説明するなど火消しに追われた。麻生太郎首相は外相時代に四島の面積等分に言及したこともあり、ブレーン役の谷内氏の発言は波紋を広げている。 麻生首相は17日夜、首相官邸で記者団に「発言の内容は承知していない。政府代表としては政府の従来の方針に従って行動されていると思う」と述べたうえで「帰属の問題が明確になれば、後は柔軟に考える」と強調した。麻生首相は外相時代に国会で「択捉島の2

    北方四島「面積等分」返還論 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/06/20
    北方領土について「議論されるべきだが議論されていないこと」
  • ミサイル騒動の後先 - 雪斎の随想録

    ■ 北朝鮮のミサイル発射は、成功だったのか、それとも失敗であったのか。 余り語られていないけどもも、その鍵は、あのミサイル発射の後、「北朝鮮からミサイル技術を買いたい」と思った国々が、どれだけあったかということである。 北朝鮮政府が「大営発表」をやっているように、人工衛星打ち上げに成功したのであれば、北朝鮮も、「衛星ビジネス」に参入する道に入ることができるかもしれないけれども、そういところに活路を見出そうとしている様子もない。 ミサイルに関していえば、結局、兵器としては「弓矢」の展開形である以上、その価値を決めるのは、「的にあたる」精度である。北朝鮮が、たとえば、グアム島を狙ってミサイルを発射すれば、その弾頭は確実にグアムに落ちることが前提であって、サイパンにおちても意味はない。テポドンⅡは、射程だけならアラスカも含んでいるけれども、弾頭を果たしてアンカレッジに落とすことができるのか。そ

    ミサイル騒動の後先 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/05/18
    ふむ。
  • 「いいひと」と「無茶苦茶なひと」 - 雪斎の随想録

    ■ 忌野清志郎さんの訃報に接する。 ただし、雪斎は、ロック系の音楽は余り聴かない。 昔、TOKIOが出ていた番組で、無名のストリート・ミュージシャンに変装して、オーディションを受けていたの見たことがある。当然、オーディションを通過するのだが、あとで正体がばれて大騒ぎと相成る。横綱が序の口の土俵に上るようなものだから…。 その後、「君が代」をロックで歌うということをやる人物だと知った。 「無茶苦茶なひと」だと思った。 昭和40年代に活躍した奇人に、交楽龍弾という人物がいた。モヒカン刈りの風貌で、サイケデリックの前衛画家として知られた。歌手やパフォーマーとしても名を馳せた。ある意味では、「無茶苦茶な」人物である。ただし、元々は、石見浜田松平家の当主で、世が世なら子爵の待遇を得ていた人物である。 ところで、この奇人である交楽龍弾との交友を喜んでいたのが、時の宰相、佐藤栄作であった。「俺にも、こう

    「いいひと」と「無茶苦茶なひと」 - 雪斎の随想録
  • 北朝鮮ミサイルの「虚」と「実」 - 雪斎の随想録

    北朝鮮が踏み切ろうとしているのは、彼らの意図から推測する限り、他国とのビジネスのネタにするためのミサイル技術の証明である。要するに、北朝鮮は、人工衛星を打ち上げるに足るミサイル技術を持っているということを証明して、それを外貨獲得の手段として考えているのであろう。それは、大量破壊兵器拡散の防止という国際潮流に背を向けるものではあるけれども、北朝鮮には、「同情するならカネをくれ」といったところであろうかl この人工衛星打ち上げ、もといミサイル発射は、二つの場合に分けて考えるのが有益であろう。 北朝鮮がミサイル発射に成功した場合、日は、国連安保理に議論の場を移して対朝非難決議や対朝追加制裁決議の採択を粛々と模索するしかない。これには、日独自の追加経済制裁の発動が加わるであろう。逆にいえば、日ができることは、「ここまで」である。「右」の方の人々は、「北朝鮮に鉄槌を下してやれ」などと呼号するか

    北朝鮮ミサイルの「虚」と「実」 - 雪斎の随想録
  • 新しい「仕事」 - 雪斎の随想録

    ■ 来週月曜日より実質、新年度入りである。 雪斎も、新年度入り以降は、「新しい仕事」を色々と手掛けなければならない。 とりあえず、始まったのが、次の仕事である。 ● 『週刊自由民主』 長期連載「よくわかる保守主義入門」 要するに、自由民主党所属議員、秘書、党職員が主な読者であるメディアで「保守主義とは何か」や「保守政治とは何か」を解説するのである。大体、五十回から六十回ぐらいの連載になる。完結すれば、新書一冊分ぐらいにはなるであろう。 最近の論壇では、雪斎は、五百旗頭真先生や北岡伸一先生と同様、「サヨク」よばわりされているようであるけれども、その「サヨク」が日随一の保守主義政党の機関紙で「保守主義」解説を手掛けるとは、どういうことであろうか。所詮は、雪斎に対する「サヨク」評も、根拠薄弱であることの証明である。 因みに、雪斎は、ハロルド・J・ラスキという政治学者を尊敬している。ラスキは、1

    新しい「仕事」 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/03/29
    「「政治権力への抵抗のポーズ自身が何かに対する一つのサービスなのだ」という言葉がある限り、雪斎は、御用学者という批判にも平然としていられる」ふむ。
  • 「日本人」の多様さ - 雪斎の随想録

    ■ この件を取り上げる。 □ 仮放免、3月9日まで再延長=入管は次回強制退去通告-比人中学生家族 2月27日11時11分配信 時事通信 不法滞在で強制退去を命じられたフィリピン人中学生カルデロン・ノリコさん(13)一家の在留問題で、東京入国管理局は27日、仮放免を3月9日まで再延長した上で、それまでに帰国しなければ家族3人を強制退去させると通告した。同日までに両親が帰国すれば、ノリコさんだけが残ることは認めるとした。 この家族には、雪斎は同情する。 ただし、不法滞在を見過ごすのは無理なので、両親が帰国するのは止むを得ないであろう。 一番。穏当なやり方は。両親には一旦、帰国してもらって、余り時間を掛けずに今度は正規の手続きを踏んで合法的に入国してもらうことである。不法滞在で送還された人物が再入国するのには、どのような条件が要るのかは、雪斎は知らないけれども、こうしたケースにおいてこそ、政治

    「日本人」の多様さ - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/03/05
    主題から外れるけど、「不法滞在で送還された人物が再入国する」ことって可能なのか知らん。↓あ、(場合によっては)出来るのですか。
  • 去り行く大統領に - 雪斎の随想録

    ■ 去り行く人々がいる。 □  「米国はここまで来た」=黒人大統領誕生に感慨-米大統領会見でブッシュ氏 【ワシントン12日時事】20日にオバマ米新大統領と交代するブッシュ大統領は12日にホワイトハウスで開いた最後の記者会見で、オバマ氏という初の黒人大統領誕生に「米国はここまで来た」と深い感慨を表した。 ブッシュ大統領は「オバマ氏の当選後、黒人が大統領に選ばれるとは思わなかったと涙ながらに語る人々をテレビで見て、わたしも感銘を受けた。オバマ氏の就任式に立ち会うわたしは幸運だと思っている」と語った。その上で「人種間の関係から言えば、オバマ氏の勝利は米国がどれほど長い道のりを歩んできたかを雄弁に物語っている」と強調した。(2009/01/13-09:01) 今のところ、ジョージ・W・ブッシュは、史上最低のの烙印を押されて、表舞台から去ることになりそうである。 だが、ブッシュは、ある意味では、「不

    去り行く大統領に - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/01/16
    「「9・11」は、一時的に米国経済を混乱させたために、それに対処するためにもアラン・グリーンスパンの下のFRBは、異例の低金利を続けたのである。 これもまた、「9・11」シンドロームの産物であろう」
  • 「沈み行く船」に乗ってしまった人々 - 雪斎の随想録

    ■ ウィリアム・クリントン政権時代に労働長官を務めたロバート・ライシュは、1990年代初め頃に、『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』という書を著した。 書中、ライシュは、人間の働き方を次の三つに分類した、 ① ルーティン・ワーク従事者 ② 対人サーヴィス従事者 ③ シンボリック・アナリスト ①は、決められたことを決められた通りに行う人々である。 ②は、具体的な生身の人間を相手にサーヴィスを提供する人々でる。 ③は、音声、画像、言語その他の抽象的なシンボルを操作して活動する人々である。 たとえば自動車会社でいえば、①は、生産ラインでの組み立て担当、②は、販売・営業・顧客サーヴィス担当、③は、デザインや広告・宣伝担当という具合になるであろう。①の作業に必要な資質は、何よりも正確さということになるし、②には、接した人々に佳い印象を与えることであり。③には、独創性や説得性ということになる。 ライシュ

    「沈み行く船」に乗ってしまった人々 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2009/01/10
    ロバート・B・ライシュ「ザ・ワーク・オブ・ネーションズ―21世紀資本主義のイメージ」。isbn:4478210187。うーむ
  • 安全保障を語る理由 - 雪斎の随想録

    政治学の世界では、諸々の政策において追求される価値は、「福祉価値」と「威信価値」の二つに大別される。「福祉価値」とは、衣住に絡む人間の生存の条件に関するものである。「威信価値」とは、正義、平和、威信、尊厳、イデオロギーといった抽象的な観念に関するものである。 たとえば、教育政策で「福祉価値」が強調されれば、「大人になってからいはぐれないようにするための知識や技術を完璧に身に付けましょう」という話になる。方や、「威信価値」が過剰に強調されれば、戦前日の「皇民教育」や現代中国での「反日教育」、あるいは北朝鮮における「将軍様、万歳」教育と同じ風情になる。保守層の「愛国心」教育と日教組の「教え子を戦場に送るな」教育が、いつもヒート・アップしながら交錯しているのは、どちらも教育政策における「威信価値」を重視しているからである。 安全保障政策の展開に際して、この「福祉価値」と「威信価値」のどちら

    安全保障を語る理由 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2008/12/29
    五百旗頭真。
  • 「平和呆け」批判の中の「平和呆け」  - 雪斎の随想録

    ■ 一昨日、産経新聞「正論」欄に下掲の論稿を寄せた。 ○ 安全保障政策の不備こそ問え この論稿それ自体は、だいぶ以前に出来上がっていたけれども、スケジュールの都合で掲載が延び延びになっていた。自衛隊将官(陸海空三幕僚長の一)を務めた方に事前に読んでもらって、「違和感はない」という反応を得た。 予定通り、この論稿は、一般には「分裂した」評価を得ているようである。 「保守・右翼」層は、「●●(雪斎の名)は、田母神論稿を全然、肯定的に評価しない」と不満を漏らしているようであるし、「進歩・左派」層は、この論稿における「軍事予算は足りない」という主張を嫌がっているようである。 日国憲法前文に曰く、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」である。それならば、具体的に何をするのか。 紛争調停や平和維持にかか

    「平和呆け」批判の中の「平和呆け」  - 雪斎の随想録
  • 武官の領分 - 雪斎の随想録

    ■ 「わが国の文官や武官の最高指導者たちが、広角レンズを使ってソ連における原子力の状況に関する秀れた情報源を持ち、ヨーロッパにおける全面戦争の結果について確かな判断を下し、そのときの現実と責任について、D・Mよりはるかに明確な見解を持っていたことは確かである。彼等の見解によれば、現地軍司令官が追求する種類の勝利は、たとえ朝鮮でそれが得られたとしても、他の場所でそれに勝る負担を招いたであろう」。(一部改変) ここで、問題である。 ① 文中、「D・M」と記されているのは、誰か。 ② この文章を書いたのは、誰か。 答えは… ① ダグラス・マッカーサー ② マシュー・B・リッジウェイ この文章は、リッジウェイの著した回顧録『朝鮮戦争』の一節である。マッカーサーは、朝鮮戦争最中に原爆使用を考慮して、当時の大統領であったハリー・S・トル-マンから更迭を告げられた。リッジウェイは、マッカーサーの後任とし

    武官の領分 - 雪斎の随想録
  • 「気持ちは判る…」で納得しない…よな。 - 雪斎の随想録

    ■ これは、心底、嫌な話である。 □ 連続テロか 元厚生事務次官宅でが刺され重傷 11月18日  産経新聞 18日午後、東京都中野区の元厚生事務次官、吉原健二さん(76)宅で、家にいたの靖子さん(72)が、宅配便の配達を装った人物に刃物で刺された。女性は重傷。警視庁で連続テロの可能性もあるとみて男の行方を追っている。 同日午前には、同じく元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)とその(61)がさいたま市内の自宅玄関で刺され死亡する事件がおき、埼玉県警が殺人事件として捜査している。 吉原さんは1986年に社会保険庁長官、88年に厚生事務次官を歴任。その後、日赤十字社理事などを務めた。 「テロ」という言葉を聞くとは、思わなかったけれども、NHKの九時台のニュースでも、テロというニュアンスで伝えられていた。確かに、年金行政を扱っていた元高官が襲われたのだから、何らかの意図を伴った「テロ」と考

    「気持ちは判る…」で納得しない…よな。 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2008/11/19
    元厚生次官宅連続襲撃事件。杉浦日向子「吉良供養」を思い出したりなんかしたりして。
  • リアリズムは穏健さ、均整の感覚、限界の認識という姿を取る。 - 雪斎の随想録

    ■ 首を長くして到着を待っていた『ジョージ・ケナン』(リー・コンドン著)が昨日、届き、早速、読み始める。 コンドンは、歴史学者であり、ジェームズ・マディソン大学名誉教授という肩書き持つ人物である。 ジョージ・ケナンは、冷戦初期の「封じ込め政策」立案の主導で知られているけれども。彼の百一年の生涯の後半半世紀は、歴史研究と外交評論に費やされていた。コンドンの著作は、そうしたケナンの「思想」に焦点を当てている。 コンドンの著作の中に印象深い記述があった。 「ケナンにとっては、リアリズムとは、穏健さ、均整の感覚、限界の認識という姿を取るものであった」。 ここでいう「均整の感覚」(SENSE OF PROPORTION)というのは、ただ単に「二つの間で平衡を保つ」というものとは比べるべくもない複雑さを受け容れることを求めている。様々なファクターの中で、どれか一つや二つの価値を過剰に重んじないというこ

    リアリズムは穏健さ、均整の感覚、限界の認識という姿を取る。 - 雪斎の随想録
    maangie
    maangie 2008/11/13
    リー・コンドン「ジョージ・ケナン」isbn:1933859717。トニー・ジャッド「ヨーロッパ戦後史」isbn:4622073412