機械翻訳の登場などで翻訳という仕事の発注単価が下がっている。一方で、翻訳の品質低下という問題も生じている。翻訳者の高橋さきのさんに現状を聞いた。 大量発注が生む低価格化 翻訳には、書籍などを訳す出版翻訳と、産業の現場で生じる文章を訳す産業翻訳がある。出版翻訳者の収入は、近年一冊あたりの印刷部数が減ったため激減しているが、産業翻訳の状況も厳しい。両方を手掛ける高橋さきのさんに、主に産業翻訳の現状について聞いた。 個人請負の翻訳者が仕事を受注する場合、ルートは主に二つある。大本である「ソースクライアント」から直接受注する場合と、「エージェント(翻訳会社)」経由で受注する場合だ。 「エージェント」は、「ソースクライアント」で発生した仕事を自社の社員や社外の翻訳者に割り振るいわば一次請負のような企業で、その規模は、一人企業から上場企業までまちまちだという。 高橋さんは、近年の翻訳業界の変化をこう指