米国で発生した「キーストーン」原油パイプラインの流出事故を受け、トレーダーらの間で供給懸念が広がっている。写真は12月9日、米カンザス州で進められる「キーストーン」原油パイプラインの流出事故の調査(2022年 ロイター/Drone Base)
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今年の冬は乗り切れるかもしれないが 10月8日公開「ノルドストリーム・パイプラインを破壊したのは、本当にロシアなのか?」で述べたように、2月24日のウクライナ侵攻に対する「ロシアへの経済制裁」の「ブーメラン」で欧州各国は深刻なエネルギー危機に陥っている。 だが、「ブーメラン」はあくまできっかけにしかすぎない。これまでのエネルギー戦略を振り返れば、ドイツを中心とした主要国が、ロシアの安くて豊富な天然ガスに依存し過ぎたのは明らかである。欧州全体の天然ガスのロシアへの依存度はおおよそ4割と見積もられる。 また、昨年12月6日公開「脱炭素原理主義が今の『自業自得エネルギー危機』を招いている」事実も見逃せない。世界中に脱炭素原理主義者がはびこり、各国政府の政策に影響を与えたが、結局のところ8月29日公開「数字を切り取る人間は嘘をつく、これが脱炭素原理主義者のテクニック」ということなのだ。 加えて、ド
エネルギー確保をめぐる総力戦が加速している。ロシア産天然ガスの供給途絶に備え、欧州連合(EU)は“節ガス”実施に踏み切り、日本企業も代替調達先の確保に奔走している。ただ、欧州のエネルギー高は収束せず、日本企業では供給途絶時に今冬を乗り切れる見通しは立っていない。市場では液化天然ガス(LNG)の長期契約交渉が活発化しているが、日本勢の影は薄い。脱ロシアに伴うエネルギー市場の混迷に拍車がかかっている。(田中明夫) 【EU“節ガス”実施】ロシア報復で相場高騰 EUのエネルギー相会合は7月下旬に、ロシア産天然ガスの供給途絶に備えて地下貯蔵を増やすため、8月から2023年3月までガス使用量を15%削減する案を承認した。ロシアはすでに、ガスタービン修理を理由に大型パイプライン「ノルドストリーム」のガス供給量を6月中旬比で8割減らすなど、報復的な措置で揺さぶりをかけてきている。足元では、欧州の天然ガス相
燃料代高騰に歯止めのつもりが 日本と同じくドイツでも、ガソリンとディーゼル燃料が高騰している。今年の最初、1リットル1.6ユーロ(208円・1ユーロ=130円で換算)だったのがジリジリ上がり始め、3月半ばには2.3ユーロ(299円)を超えた。 その後は少し下がり、2ユーロ(260円)あたりで高止まりしていたが、政府は、夏のバカンスシーズンを間近に控え、どうにかしなければならないと思ったのだろう、6月1日から3ヶ月間、ガソリンとディーゼルに掛かっている税金を軽減することを発表した。 ガソリンには、石油税0.65ユーロ(85円)/Literのほか、炭素賦課金0.07ユーロ(9円)/Liter、石油備蓄付加金0.003ユーロ(0.4円)/Literなどがかかっており、最終の価格に、さらに19%の消費税(付加価値税)が乗る。 こうしてみると、正味の“ガソリン代”はおそらく価格の2割ほどだ。予定され
プーチンもバイデンも「窮地」 ロシアのウクライナ侵攻は、原油高という形で各国を苦しめる形になっているが、増産はまったく見通せていない。 このままでは1バレル200ドルへの超エネルギー高が世界経済に大きな影を落とすことになりかねない。 ここにきて米WTI原油先物価格は1バレル=110ドルを目前としている。欧米諸国が経済制裁を科し、ロシアからの原油供給が滞る可能性が材料視されているからだ。 ロシアの大手銀行を国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することが決定されたが、すでにロシア産原油の買い手が金融機関からの信用状を取得することなどが困難になりつつある。 ロシアに対する厳しい経済制裁を主導している米国だが、実はバイデンもプーチン同様に窮地に立たされているのだ。
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 石油の採掘コストが上昇し、石油に頼れない時代が来る。だが、日本は脱化石燃料を推進する条件を備えている。19世紀以降、資本蓄積のスピードを競った資本主義による成長を支えたのは、エネルギーが凝縮された安価な石油だった。だが、日本の社会はこれ以上の急激な資本蓄積を必要としていない。史上最低金利(ゼロ金利)がそれを裏付ける――。「資本主義の終焉と歴史の危機」などの著書で知られる、水野和夫・法政大学教授が独自の経済史観から脱石油を説く。 近代はその誕生の経緯からして反近代的である。「無限」の空間と時間を前提とする近代は、「有限」である化石燃料に全面的に依存する社会だからである。化石燃料が無限に使えないとすれば、近代社会が終わるのは必然と言える。 今回は
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