中国の胡錦濤国家主席が今年(2008年)5月6日に訪日したことは記憶にも新しいところだろう。滞在期間は5日間。決して長いとは言えない時間の中で、彼はかなりの仕事をした。コメ輸出全面解禁で合意。早稲田大学での講演。松下電器本社訪問。京都の寺社仏閣の観光‥‥。 早稲田大学では、胡錦濤氏の対チベット政策に異議を唱える学生たちがデモを行ったという報道もあった。しかし、総じて彼の訪日は一定の成果を上げたとみていいだろう。わたしは、胡錦濤氏の発言や行為に「日中関係の戦後に終止符を打ち、真の戦略的互恵関係を構築したい」という意欲を感じた。その背景には、中国で加速度的に広がる貧富の差や、世界的に非難を集める環境問題を解決するには、日本の協力が不可欠という事情があるのだろう。 ここで思い出すのは、1998年の江沢民氏の訪日である。これは中国の国家主席としては初となる訪日であり、その意味では記念すべきもの