7月6日、米中貿易戦争が開戦した。中国内外の多くのメディアが「開戦」の文字を使った。つまり、これはもはや貿易摩擦とか不均衡是正といったレベルのものではなく、どちらかが勝って、どちらかが負けるまでの決着をつける「戦争」という認識だ。仕掛けたのは米国であり、中国は本心は望まぬ戦であるが、中国としても米国に対して妥協を見せるわけにはいかない事情があった。この戦いは、たとえば中国が貿易黒字をこれだけ減らせば終わり、だとか、米大統領選中間選挙までといった期限付きのものではなく、どちらかが音を上げるまで長引くであろう、というのが多くのアナリストたちの予測である。 さて、この戦争でどちらが勝つのか、どちらが負けるのか。あるいは、どういう決着の仕方が日本にとって好ましいのか。それを正しく判断するためには、この米中貿易戦争とは何なのか、その本質を知る必要がある。そして、おそらくはビジネスに軸足を置く人と、安
日本ではセクハラ事件の暴露が相次いでいるが、中国ではどうだろう。最近中国では、セクハラをきっかけに19歳の女子受験生が自殺した事件が、あまりにもショッキングで、セクハラが常態化している中国でも、反セクハラ立法の声があがっている。 19歳の甘粛省慶陽市の女子受験生は担任教師にセクハラを受け、抗議の自殺を6月20日午後3時ごろ、衆人環視の中で行った。この様子はなんとインターネット上でも中継され、中国社会にさまざまな世論を巻き起こした。 まず犠牲者の女子受験生が、担任教師からひどいセクハラを受けていたということで、セクハラに鈍感な中国でも反セクハラ立法が必要ではないか、という声が起きた。この事件の中でもう一つ、ニュースとなったのは、彼女が百貨店ビルの8階の外壁の出っ張りに座って、スマホをいじっていた時、やじうまから「早くやれ!」「どうせ、死ぬ気などないんだろう!」といった自殺を促すようなヤジがと
この4月から5月にかけて、アジアでは重要な事件が次々と起きた。南北会談があり、米国務長官ポンペオの訪朝があり、中国外相・王毅の訪朝と金正恩との面会があり、米中通商協議が北京で行われて物別れとなり、北朝鮮外務省が突然、米国を非難しだし、金正恩の二度目の中国訪問があり、そして米朝会談の日取りと場所が決定した。その傍らで、米国は核イラン合意を離脱、マレーシアでは92歳のマハティールが親中派のナジブをやぶって新首相の座についた。中国の李克強首相が初来日し、日中韓首脳会談および日中首脳会談が行われた。 それぞれが連動しており、米中関係を中心に、アジアのパワーバランスに激変が起きうる予感に満ちている。その震源地は半島ではあるが、それは中東の動きとも呼応しており、メーンプレイヤーは言うまでもなく米中である。だが、10日の日米首脳電話会談では、トランプは安倍晋三のことを朝鮮問題について「ビッグプレイヤー」
久々に中朝国境に行ってきた。今回のコラムはその簡単なリポートから始めたい。 行先は吉林省の琿春という人口23万人程度の小さな街で、ロシアと北朝鮮と中国の3カ国の国境が接する。北京駅から列車で1本、10時間あまり。この路線は、吉林駅あたりから先の風景がなかなか美しいと評判だ。5月も半ばを過ぎたころだと、おそらく車窓から、芽吹いたトウモロコシ畑の新緑の絨毯を眺めながら鉄道の旅を満喫できるだろう。 私が訪れた4月半ばは、まだ新緑の季節には早かったが、気温は日中15度ぐらいと快適だった。午前6時40分発の列車で、少し予定時間より遅れた午後7時すぎに到着した。 中朝国境だから緊張しているかと思えば、普通の国境の地方都市であり、耳に入る言葉や目に飛び込む文字が朝鮮語とロシア語が若干多いぐらいの特徴しかない。飲食店のメニューに、朝鮮族の好む「狗爪」(犬の手)が当たり前のように並んでいるのに、朝鮮族自治区
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