日本自動車工業界会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏が、「脱炭素」を実現するのは容易なことではなく、政府による本格的な後押しが必要不可欠であると強く主張したことが話題となっている。 自動車産業は大量のCO2を排出する部門だが、脱炭素は社会システム全体に関わる話である。豊田氏が主張するように自動車業界だけで対応できるような話ではない。 一方で、自動車は日本の基幹産業であり、トヨタはその頂点に立つ企業である。世界各国が急ピッチで脱炭素にシフトする中、日本は国家としてどのような脱炭素戦略を立案するのか、本来なら自動車業界こそが国家的な議論をリードすべきだった。トヨタが世界企業だというのなら、これまでの対応は政府と同様、かなり受動的だったといわざるを得ないだろう。 いずれにせよ菅政権は2050年までの排出量ゼロを宣言したので、もはや賽(さい)は投げられた。新興国として大量の二酸化炭素を排出せざるを得