ファナックの業績が急回復している。2021年3月期の連結純利益は前の期比28%増の940億円と、3期ぶりに増益に転じた。山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)が次の成長への土台づくりと見据えるのが、現実を仮想世界に再現する「デジタルツイン(電子の双子)」を使った顧客の設計開発支援だ。バーチャル工場時代への布石となるか。 新型コロナウイルスがいまだ世界で猛威を振るう中での急回復のため、緩和マネーを背景とした仮需も含まれる。ただ、けん引役の中国向けは「悪くなる兆候はまだなく、ピークはしばらく続く」と見立て、22年3月期は純利益で前期比28%増の1205億円を見込む。中国での産業用ロボットの生産工場増設、工場で人と一緒に働く小型の「協働ロボット」の生産能力を今期中に昨年の3倍まで増強する、など先を見据えた投資にも打って出ると表明した。 そして将来への布石としてファナックは目下、「デジタルの力を使
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