2022年10月14日の国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に合わせ、気候変動対策を求めるデモ(写真=AFP/アフロ) 資本主義が我々にもたらすものは繁栄か、脅威か。近著『資本主義の再構築:公正で持続可能な世界をどう実現するか』(日本経済新聞出版)を基に、米ハーバード大学のレベッカ・ヘンダーソン教授が考察する。本稿はまず、その総論を概説する前編である。 実際に、資本主義は繁栄・革新・自由を促進する動力源として、これまで何十億人もの人々を貧困から救い出してきた。例えば、1910年には極度の貧困状態にある人々の数は17億5千万人にも達していたが、現在では、その数は(世界の人口が3倍以上に増えたにもかかわらず)7億人程度にまで減少した。 また、50年代には人口の半分が1日2ドル以下で生活していたが、現在ではその数はわずか13%に減少している。さらに、1820年には世界人口の43%が5歳未満で