自動車が進める水素社会実現に向けた仲間づくりが、海を越えて広がってきた。中心的な役割を担うのは、開発中の水素エンジン車だ。2022年はベルギーでデモ走行を行い、タイで耐久レースに出場。タイでは現地の大手財閥と、水素の製造や利活用で協業も始める。開発面では水素エンジンの本格的な量産段階を見据え、専門チームが動き出した。「脱炭素化の多様な選択肢」を訴えてきたトヨタ。そのうねりは高まりつつある。(名古屋・政年佐貴恵) タイ最大級の財閥と協業、東南アで温室ガスゼロ探る タイ東北部のブリラムにある「チャーン・インターナショナル・サーキット」。22年12月17日、日差しが照りつけるコースを、水素エンジンを搭載したスポーツ車「GRカローラ」が疾走した。東南アジアの地を水素エンジン車が走るのは初めてのことだ。 自らもハンドルを握った豊田章男社長は「アジアでもカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ