腸管出血性大腸菌感染症の感染経路の一つとして、動物、特に牛との接触が知られている。山口県において2012年2月に、牛との接触が原因と推察された腸管出血性大腸菌(EHEC)O26:H11(以下O26と略)の小児感染事例が発生した。患者、接触者ならびに牛由来分離菌株を検査したところ、すべてβグルクロニダーゼが陰性の非定型性状を有するO26であった。また、分離菌株のパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)法による解析結果からみて、同一起源由来の株と考えられた。本症例は、感染の原因が「牛との接触」であることが強く推察される、非定型性状のO26株によるまれな感染症例であると考えられた。 症例の概要 2012年2月23日、山口市内の医療機関から、O26(Stx1産生性)感染症の発生届が提出された。患者は4歳女児で、2月20日頃から腹痛と水様性下痢の症状を訴えていた。接触者の調査を実施したところ、2月