「取調の可視化」「取調の全面的可視化」と言われています。 山下先生とツイッターで話したとおり,私は,「可視化」「全面的可視化」には,残念ながら,本質的に賛成できないのです。 現在の捜査構造はどうでしょうか? 原告(捜査側)が自分の家に被告を閉じ込めているわけです。被告を自分の家に監禁した上で,「俺の家にある取調室に来い」と言われたら,行くしかないですよね。たとえ,原告から「俺の家の取調室に来るかどうか,あくまでも君の自由だよ」と言われても,被告は困ってしまうでしょう。 原告は,「原告の家の中の<留置室>」に閉じ込められ,留置管理官の温情により,ご飯を食べ,時々たばこを吸わせてもらえるのです。そして,取調官から,なだめられたり,教訓を垂れられたり,褒められたりして,「請求原因事実を認めませんか? まぁ,強制ではないですけどね」と慇懃な調子で被告を尋問するわけです。 これが,「現実の捜査の構造