ドイツで日本のマンガやライトノベル(ラノベ)の翻訳業に従事する60名を超える翻訳家たちが、低賃金問題の改善に向けて公開質問状(オープンレーター)を発表しました。背景には翻訳家個人とマンガ翻訳出版社による協議に限界があるようです。今回は、当事者の1人でもある翻訳家のアニャ・ヂュォンさん(以下、アニャさん)にインタビューを行い、クールジャパンの現場で今、何が起きているのか、話を聞いてきました。 公開質問状の内容ドイツにおける翻訳業界団体、ドイツ語圏文学学術協会(VdÜ)は2024年10月付で、ドイツのマンガ出版社に宛てられた公開質問状「ドイツ語圏のマンガ・ライトノベル翻訳における報酬事情について」(ドイツ語)をホームページに掲載しました。 ざっくりとその内容を紹介してみます。業界団体が実施したアンケート調査によると、マンガとラノベの翻訳者の57%は今の報酬条件で働き続けることが難しいと考えてい