ヒトは、世界中どこにいっても、その集団の中に、様々な色覚の個体が混ざって生活している、面白くも珍しい生き物です。 では、多様性の中にある様々な色覚をどのように呼ぶか、これまで多くの試みがありました。古典的には、眼科の「正常」と「異常」の区分けですが、すでに見たように、それだけではすっきり説明てきないことも多く、今も、呼称の問題は、社会的な懸案です。 ここでは、現在、目に触れる可能性がある「色覚をめぐる言葉」について、整理を試みます。様々な「言葉」に目を向けることで、今わたしたちが向き合っている問題の輪郭を理解するのに役立つかもしれません。 まずは【表3】をごらんください。ぼくが、2010年代に色覚の問題について調べるようになってから、頻繁に目にする呼称を8つリストアップして、簡単にコメントをつけました。 ざっと見ていただいた上で、個々の「言葉」について、ぼくなりの解説をさせていただきます。