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ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (4)

  • オゾンは体にいいのか悪いのか? : 有機化学美術館・分館

    10月30 オゾンは体にいいのか悪いのか? 筆者は毎日つくばエクスプレスに乗って通勤をしております。で、先日筑波山観光のこんな広告が車内に出ておりました。 「からだいっぱい、オゾンを浴びて元気になる」 えー、危ないですからぜひやめて下さい。 どうもオゾンというのは「酸素の濃いやつ」的な、体によいものと思われているようですが、実際にはオゾンは猛毒の気体です。オゾンは酸素ガスに紫外線や放電を浴びせることによって発生し、酸素原子が3つつながった構造を持ちます。 オゾンの共鳴構造 どうしてこれが猛毒かといえば、オゾンは不安定であり、余分な酸素原子ひとつを他の分子に押しつけ、安定な酸素分子(O2)に戻りたがる性質がある――すなわち、強い酸化力を持つからです。これにより、生体の大事な分子を破壊してしまうので、毒として働くのです。 しかしオゾンは低濃度では殺菌効果があり、医療器具などの消毒に使われます。

    オゾンは体にいいのか悪いのか? : 有機化学美術館・分館
  • 生乾きの臭いとレクター博士の話 : 有機化学美術館・分館

    6月26 生乾きの臭いとレクター博士の話 洗濯物を天日に干せず、部屋干しにしていると何か雑巾のようないやな臭いが残るのは、梅雨時の悩みのひとつでしょう。先日、花王からこの臭いの原因を解明したという発表がありました。これによれば臭いの原因となるのはモラクセラ・オスロエンシス(モラクセラ菌)という細菌で、タオルや衣類などに広く棲んでいるということです。彼らが作り出す臭い成分は4-メチル-3-ヘキセン酸だそうで、カルボン酸と不飽和結合を持っていますから、有機化学者のみなさんなら「こりゃ臭そうだ」と思える構造でしょう。 4-メチル-3-ヘキセン酸 しかしこの化合物名、どこかで聞いた記憶があるなと思っていたのですが、かのサイコサスペンスの傑作「羊たちの沈黙」に登場する、天才精神科医にして連続殺人鬼であるハンニバル・レクター博士のセリフに出てきたな、と思い当たりました。が、文庫を探してみたところちょ

    生乾きの臭いとレクター博士の話 : 有機化学美術館・分館
  • 対称軸を持つ分子 : 有機化学美術館・分館

    8月17 対称軸を持つ分子 有機化合物の世界は、構成要素が少ないのでシンメトリックなものが多く存在します。究極はもちろんフラーレンC60ですが、他にも美しい対称形の分子は数多く存在します。たとえば3回回転対称の分子ならアンモニア、4回ならポルフィリン、5回ならフェロセン、6回ならベンゼン、とこのへんまではいくらでも例を思いつきます。ではそれ以上になるとどうでしょうか? 7回回転対称という図形は自然界にもめったに存在せず、思いつくのはナスやシャクナゲの花くらいのものです。有機分子ではどうかといえば、トロピリウムカチオン(C7H7+)がそれに該当します。全体で6π電子系となるため芳香族性を持ち、比較的安定です。 トロピリウムカチオン 8回回転対称となるとどうか?いろいろありそうではありますが、わかりやすいのは「サルフラワー」分子でしょうか。チオフェンが8つ輪になったような構造で、「Sulfur

    対称軸を持つ分子 : 有機化学美術館・分館
  • 酒で超伝導を起こした話 : 有機化学美術館・分館

    7月28 酒で超伝導を起こした話 さて今回は「有機化学」という筆者の守備範囲から外れますが、あまりにも面白い話題があったのでそちらで一書いてみます。 今回の主役・赤ワイン 超伝導と呼ばれる現象があります。絶対零度近くの超低温で電気抵抗が全くのゼロになってしまう現象で、1911年にカメリン・オンネスによって発見されました。 その75年後、突如として世界を揺るがす発見がありました。スイスのIBMチューリッヒ研究所にて、ランタン・バリウム・銅の酸化物がかなりの高温で超伝導を示すことが発見されたのです。やがて組成を変えることによって転移温度(超伝導を起こす温度)はさらに高まることがわかり、世界中の物理学者に大フィーバーを巻き起こすことになりました。この功績により、発見者のミューラーとベドノルツは1986年のノーベル物理学賞を受賞しています。発表から受賞までわずか半年というのは空前の記録であり、今

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