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ブックマーク / kyouki.hatenablog.com (15)

  • 短編小説2 『スギナ』 ~~リストラされた夫婦のショートストーリー~ - ICHIROYAのブログ

    結婚すべき男と、恋愛の対象とする男は別だ、ユウコは固く信じていた。 大学時代の友達がそれを峻別せずに次々に結婚していくのを、ユウコは危なっかしく思いながら見ていた。案の定、友達の何人かはすぐに離婚したし、結局のところあてにならない連れ合いの稼ぎに苦労を強いられている人もいた。 ユウコが選んだのは幼なじみのコウジで、まさに結婚すべき男性の条件を満たしていた。穏やかで、慎重で、優しかった。最後まで補欠ではあったもののサッカー部に所属するかたわら、コツコツと勉強し、国立大学に現役で合格、一部上場の有名製造メーカーに入社した。 コウジは、友達たちが夢中になるような、危険な匂い、しびれるようなオスの香りとは無縁であったし、おまけにタヌキのような風貌だったので、「一生安泰だけど退屈なアンパイ」を選んだユウコはなんて計算高いんだろうと友達たちは噂した。が、じつはもうひとつ、コウジの求婚を受け入れた理由が

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  • 短編小説1 『ミリオン』~夢を紡ぐ人、見守る人、助ける人のそれぞれの物語~ - ICHIROYAのブログ

    コウタは悩んでいた。 書籍編集者として働き出して十年を過ぎていたが、夢だったミリオンセラーはいまだ出せていない。編集者としてこの世に出したは、すでに百冊を超えた。 重版がかかったものは三割に過ぎず、『犬の生活』という犬をテーマにしたエッセイ集が唯一、五万部を超えた程度だ。 一年後輩のユウスケに、重版になる割合、出版数、累計販売部数などすべての面で凌駕されている。 「たまたま、ですよ、コウタ先輩」 「たまたまが、十年も続くかよ」 「いや、先輩、僕のつくるは、やっぱり、売りに走ってますから。僕は、むしろ、コウタさんみたいな『いい』出したいですよ」 それがユウスケの音でないことは、コウタも知っている。『売れる』と『いい』を巡る議論は、コウタの勤める中堅出版社にとって、いわば中心命題のようなものでもあったので、机を並べるふたりの会話がそこに落ちるのはいつものことであった。口ではそう言い

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    sennich
    sennich 2016/03/14
    良い話ですね
  • 松江城の天守閣はわずか180円(現在価値120万円)で払い下げられるところだった - ICHIROYAのブログ

    松江に用事があって、ほんのちょっと時間がとれたので、今年、国宝に指定されたという松江城に駆け足で行ってきた。 現在、当時のままの建造物として、日に残っている天守閣はわずか12で、そのうちのひとつ。 大阪城のように最新設備で再建されたところも便利で良いのだが(大阪城がもし残っていたら、待ち時間が凄いことになっていただろう)、現物が残っていてその中に入ることも触れることもできるというのは、最高にエキサイティングだと思う。 素晴らしかった。 なんせ江戸時代、1634年(381年前)に建てられた木造建築や石垣がそのまま残っているのである。 地階には井戸が残っている。 籠城戦になれば武器糧に加えて清潔な水が必要だ。だけど、高い位置にあると思っていた天守閣の地下に井戸が掘られているということにびっくり。深さは24mあり、常時飲料水が得られたという。 柱も階段も床も、素晴らしい風合いだ。太い柱は板で

    松江城の天守閣はわずか180円(現在価値120万円)で払い下げられるところだった - ICHIROYAのブログ
    sennich
    sennich 2015/10/19
    これは凄い話ですね!
  • 銀行は貸してくれず、キャッシュも尽きるXデーを想像してみる(本の紹介) - ICHIROYAのブログ

    小説のプロットづくりのために中小企業の再生や会社法について、いくつかのを読んでいるのだが、川野雅之氏の『中小企業再生の新しい道標』というがとても面白かった。 僕の会社は、リサイクル商品のため現金商売であり、また大きな設備投資の不要なECであるため、リーマンショック後に大きな売上減があり、事業を失うかもという恐怖を感じて事業構造を変えたことはあっても、債務の返済に困ったという経験がない。 だから、銀行からの融資とか、リスケとか、という経験がなく、企業再生の現場というものが、どうしてもリアルに想像できなかった。 こののテーマは、いままでの企業再生が銀行の自己資の毀損をいかに少なくするかという視点で行われていたのに対し、これからは「納税を増やす」「雇用を増やす」ということに主眼がおかれた再生方法になるということなのだが、企業再生のリアルな現場やノウハウも描かれている。 たとえば、民事再生

    銀行は貸してくれず、キャッシュも尽きるXデーを想像してみる(本の紹介) - ICHIROYAのブログ
    sennich
    sennich 2015/10/14
    胃が痛くなりそうですけど、いい言葉ですね。
  • 僕の本の韓国語版が発売されました! - ICHIROYAのブログ

    僕の一冊目の韓国版が発売された。 表紙の写真が、十数年前、僕が感じていた閉塞感をよくあらわしているように思う。 後進のビジネスマンに届けたいと思って書いた文章が、こうやって海を渡り、別の国の人のもとに届く。 翻訳にあたっては、複数のエージェントの入札となり、出版社さんの話では、韓国の出版マーケットのサイズから考えると、破格の金額での落札となったという。 なぜ、韓国の人がこのにそんなに興味を持っていただけたのか、わからないと出版社の社長さんは言う。 もちろん、隣国でありながら行ったこともない僕にも、その理由はわからない。 ひょっとすると、韓国は日以上に競争が厳しく、組織の中で生きていくことがより難しいのかもしれないと想像するだけだ。 それにしても、嬉しいことだ。 いまだに、あのを出版してよかったのかな、という思いがときどき胸に去来する。 とくに、厳しいレビューがついたとき、胸にぐさ

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    sennich
    sennich 2015/10/09
    おめでとうございます。確かにそうですね『後悔』を話す事ってなかなかできない。
  • ブルース・リーが、それなら死ねと言った - ICHIROYAのブログ

    、 ブルース・リーと私は毎日3マイルを良いペースで走っていた。3マイル(約4.8キロ)を21分か22分で。1マイル(約1.6キロ)をちょうど8分。(ブルースは1968年頃は6分半程度で走ることができた) ある朝、彼は私に言った「5マイル走ろう」。 「ブルース、僕には無理だよ。君よりめちゃくちゃ年寄りだし、5マイルも走れない」 「3マイル過ぎたら、ギアを入れ替えよう、あとたった2マイルだ、君にはできるさ」 「オッケー、やってみる」 そうやっていつものように3マイル走り、4マイル目にはいった。3,4分は大丈夫だったけど、すぐにとてもしんどくなってきた。私は疲れきり、心臓の鼓動が激しくなった。もう無理だった。彼に言った。 「ブルース、もう走れない」私はそう言いながらもまだ走っていた「これ以上走ったら心臓発作で死んじゃうかもしれない」 彼はこう答えた。 「じゃあ、死ね」 その言葉は私を奮い立たせ、

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    sennich
    sennich 2015/09/04
    知った時には既に故人でした。幼い頃も今も私のスターです、
  • 順調に伸びている今だからこそ、なにがなんでも新事業を成功させなければ! - ICHIROYAのブログ

    僕らが国内向けの販売を始めて5年経つ。 おかげさまで多くのお客様に支えられて、順調に売上は伸びている。 まだまだリサイクル着物のマーケットは大きいので、伸びる余地はあると思っているが、着物そのもののマーケットのサイズが3000億円程度だから、リサイクルでかつネット販売の規模は限定的である(100億程度という話も聞いたことがあるか、はっきりとはわからない)。 なんとなく、このままがんばっていけば、順調に伸びるような気はする。 だけど、冷静に考えてみれば、新品のマーケット、とくに高級呉服のマーケットに明るさが見えないだけに、何年かのうちに、うちの伸びも頭打ちになることは確実である。 5年の間には、多くのものが劇的に変わった。 ネット関連の機器やSNSなどはもちろん、リサイクルやアンティークの着物の仕入れ現場を見ているだけでも、取引価格の変動にはすさまじいものがある。 2年前なら数万円が当然だっ

    順調に伸びている今だからこそ、なにがなんでも新事業を成功させなければ! - ICHIROYAのブログ
    sennich
    sennich 2015/08/26
    そうですね、新品の市場が伸びないと中古市場は頭打ちになる。しかも少し遅れてやって来るが確実にそうなることが見えている。縮小するパイの中で残る会社になる為の軸足の確認も必要ではないでしょうか。
  • たったひとつの完璧なものを作ることへ至る道とは? - ICHIROYAのブログ

    いつも読んでいるClearさんのブログの過去記事にとても印象的な話が紹介されていた。それは「Art & Fear」というの中で紹介されている陶芸の先生の話である。 Art & Fear: Observations on the Perils (And Rewards) of Artmaking 作者: David Bayles,Ted Orland 出版社/メーカー: Image Continuum Pr 発売日: 2001/04/01 メディア: ペーパーバック クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る あまりに印象的な話なので、何も付け加えせずにそのまま紹介したい。 おそらく、いろいろなことで思い当たったり、現在続けていることにさらに燃料をいただけたりするのではないだろうか。 では、どうぞ。 ある時、陶芸の先生はクラスをふたつに分けた。 ひとつのクラスには、その日、で

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    sennich
    sennich 2015/08/04
    共感します
  • 東芝の不正会計について思うこと - ICHIROYAのブログ

    まったく暗澹たる気分である。 東芝の不正会計の件だ。 僕は上梓させていただいたで、「まずは成熟した組織人となれ」と満身の力を込めて書いた。 僕が18年お世話になった会社は、ほかの会社と同様なさまざまな小さな問題はあったにせよ、根では信頼できる会社であった。 そこで成熟した組織人となることは、けっして人間として正しく成熟することに反しなかった。 僕はそうなれずに会社を辞めてしまった人間だが、振り返ってみてそう信じている。 しかし、日を代表する東芝という企業で成熟した組織人となろうと努力した人たちはいったいどうなったのだろうか。 ひとりの社長の間だけではない。3人の社長の間、同じように不正会計を求められたのである。 社員の中にはそれを知らずにすんだ人も多くいるだろう。 だが、不正会計と知りながら、それを強要されていやいやそうした人もいる。 あるいは上司の気持ちを忖度して、積極的に不正会計

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    sennich
    sennich 2015/07/22
    3人のトップはいったい何人の人たちの可能性を摘んでしまったのだろうか。  僕はその人たちが憎くて仕方がない。全くだ。
  • とても切ない文章に出会った - ICHIROYAのブログ

    いつものようにMediumを読んでいたら、とっても切ない文章に出会った。 実家のリサイクル店を大きな夢もなく継いだ若い男性の話である。 ある日彼の店に美しい女性が、男性の服や時計などの身の回りのものを売りに来る。 状況からしてどうやらそれは盗品らしい。 どこかのホテルで朝目が覚めて、自分のスーツや時計や財布といっしょに一晩をともにした美女が消えていることに気がついた男性の姿が、彼にはっきりと見える。 しかし、彼はその女性に恋をする。 そして、盗品とわかっていながらそれを買い取る。 その日以来、彼女は何度も店にやって来る。 盗品らしきものを持って。 ある日彼は彼女を飲みに行こうと誘う。 彼女は彼の冴えない部屋にやってきて、一晩を過ごす。 朝起きたときには・・・ という話だ。 なんだか、とても切なかった。 そのリサイクル店を継いだ男性の空虚な心情、わかっていながら抑えられない恋する気持ち、その

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    sennich
    sennich 2015/07/17
    それが彼女の仕事
  • あなたのラットピープルを探しに行こう! - ICHIROYAのブログ

    あなたはラットが好きだろうか? 僕はとくに好きでも嫌いでもないが、上の娘が小学生のころ、学校から連れて帰ってきてしばらく飼っていたことがある。 なかなか可愛かった。手のひらに収まってじっとしていてくれる時もあるし、コタツの中に離すと飛び回ったりした。 やがて死んでしまったのだが、不思議なことに、死んだ時、彼女はケージの外で倒れていた。どうやってケージから出たのかわからないが、とにかく彼女(性別は不明だがおそらく女性)はもう命が尽きるという時、どこかへ行かねばならぬと思ったらしく、どういう手を使ったのかケージから抜けだして、部屋の真ん中で行き倒れていた。 いつも読ませていただいているPaul Jarvisさんの過去の推薦記事に「自分のラット・ピープルを探せ(Find Your Rat People)」というタイトルのものがあって、それを読んでいて、そんな昔のことを思い出した。 わかりやすい英

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    sennich
    sennich 2015/06/30
    示唆に富んだ言葉ですね
  • オトコの中のオトコ、海を変える! - ICHIROYAのブログ

    海の中で白衣を着て講義をしているのは、高校時代の友人で徳島大学/近畿大学の講師でもあるタカッチ(中西敬氏)である。 さて、タカッチってどんなやつ?って聞かれたら、僕はいつもこう答えている。 「オトコの中のオトコ」 ともかく、そんな人である。 生まれついてのリーダーであり、勉強も運動も万能で、しかも男前。 とにかく、誰もが友達になりたいと思うような人だ。 さて、そんな彼がテトラポッドのかぶりものをして、海のなかで白衣を着て講義をしている。 どうした、タカッチ!? さかなくんに対抗しているのか!? 短いので、まずは下の動画を見て欲しい。 タカッチは、徳島大学で「アミノ酸コンクリート」の研究をしているのである。 この「アミノ酸コンクリート」(通称アミコン)は、コンクリートにアミノ酸を混ぜてつくる。そのアミノ酸が水中に継続的にゆっくりと溶け出すことで、藻などの成長を促し、環境にとてもやさしい、画期

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    sennich
    sennich 2015/06/27
    凄い!
  • あなたの業界では「地べたから商売を始める」チャンスはありますか? - ICHIROYAのブログ

    何度も書いているように、中高年が独立して商売を始めなければならない時、失敗が許容できない状況なら、「地べたから商売を始める」ほうが良いと思っている。 具体的な話はこの記事で書いたとおりで、簡単にいうと、業界の先輩たちが面倒くさがってやらないこと、先輩たちの報酬単価からすると合わないようなことから商売を始め、そこで売買を重ねていく間に、自分の得意分野を磨き、より専門性のある高い報酬の得られるところへシフトしていったらどうか。多くの中高年の独立は、見栄もあって、直接、その後者のところへ踏み込もうとするので失敗しがちだ。だが、独立して商売をするということは、会社員時代とは異なるスキルが必要だ。それを学ぶためには、小さく、低く始めるのが最もよいと思う、ということだ。 さて、僕はそういう状況は、僕のいるリサイクル・アンティーク着物の業界でなくても、どんな業界にもあるのではないかと想像していた。 しか

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    sennich 2015/05/16
  • このどうしようもない世界にようこそ! - ICHIROYAのブログ

    長女が出産のために2才の孫を連れて帰省中であった。 出産予定日までまだ1週間ぐらいあったが、昨夜、長女が「破水した~」と大きなお腹を抱えて言った。 自分の娘ふたりとひとりの孫の、いわば当事者であったはずの僕は、いつもその肝心なときにいなかったので、「破水した~~」がどんなものかわからない。 「パンツ、びしょ濡れ~~タオル持ってきて~~」とか、長女はのんびり言ってる。すわっとと次女がやってきて、タオルを探し、必要なものを確認しはじめる。 「持っていくものは~~?」と次女。 トイレに入った長女が答える「タンスのうえにポストイットにメモ書いてあるでしょ~~それ」 次女とそのメモをみつけたら、そこには『胎盤なんとかかんとか』というとか、痛みをこらえるためタオルに結び目をつけたものとか、レッグウォーマーとか4つぐらい書いてあった。 「この胎盤なんとかっていうどこよ?」と僕。 「タンスの上に立て

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    sennich
    sennich 2015/05/15
    おめでとうございます!
  • イギリスの成功した自費電子出版作家の話 - ICHIROYAのブログ

    マーク・ドーソンさんというイギリスのクライム・スリラーの作家さんの話がMediumなどに出ていてとても興味深かったので紹介したい。 以下は、Forbesの記事 ”Amazon Pays $450,000 A Year To This Self-Published Writer(アマゾンはこの自費出版のライターに1年間で45万ドル支払った)”からの要約。 *2000年に出版社から最初のを出したが、販売後も努力したにもかかわらず、あまり売れなかった。がっかりして、2,3年書くことから遠ざかった。 *2013年にJohn Miltonという暗殺者を主人公とするクライムノベル「The Black Mile」を書いて、アマゾンでKindle版として自費出版した。 *当初はあまり売れなかった。 *無料にするという賭けにでた。爆発的にダウンロードされて、直後の週末に50,000部もダウンロードされた。

    イギリスの成功した自費電子出版作家の話 - ICHIROYAのブログ
    sennich
    sennich 2015/04/22
    やはり英語か…
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