約20年ほど裁判所に通っている。同じ場所に通い続けていると、些細な変化に気づくこともある。最近の例でいえば、霞ヶ関の裁判所ロビー壁面に「禁煙」のポスターが等間隔に貼られたことがあった。数年前、敷地内が完全禁煙になってしまい、また屋外の喫煙所もないので、こっそり吸うという事例が報告されたのだろうか。些細な変化から、そんなことを想像して、エレベーターに乗り込む。上階で降りると、そこにも貼られていた。 ロビーやエレベーター周りの「禁煙」ポスターも気になるが、もっと長いスパンで見た裁判所の変化が、今回のテーマだ。 裁判員裁判が始まったのが2009年。それから数年経って、ふと気づいたことがあった。 「殺人未遂の公判が減ってるんじゃ……?」 気になる。しかし、そんなことを地裁総務課に尋ねたところで、分からないと言われるのは当たり前。厄介傍聴マニアの烙印を押されかねない。長く通う場所であるからこそ友好な
北海道警ヤジ排除訴訟の閉廷後、訴訟への思いを語る原告の大杉雅栄さん(左から1人目)と桃井希生さん(同2人目)ら=札幌市中央区の大通公園で2021年9月10日午後4時57分、高橋由衣撮影 「ジュース買ってあげる」――。2019年7月、参院選の街頭演説で安倍晋三前首相にヤジを飛ばした20代の女性に、北海道警の警察官がこう声を掛けるなどして、デモ参加者を排除した詳細な状況が、法廷で明らかになった。 ヤジを飛ばして警察官に排除されたとして、札幌市の男女2人が道に損害賠償を求めた訴訟で9日、証人尋問が札幌地裁(広瀬孝裁判長)であり、原告の桃井希生さん(26)に対処した女性警察官が出廷した。 女性警察官は、桃井さんのヤジを制止し、その場から移動させた。その後、札幌駅近くのビルから出てきた後に突然走り出した桃井さんは「明らかに不審だった」と説明。その後、桃井さんを追跡し「ジュース買ってあげる」と持ち掛け
豊田商事事件や安愚楽牧場事件、ジャパンライフなど、長年、日本の詐欺事件で繰り返し用いられてきた「オーナー商法」。高い配当をうたい、高額な物品を買わせることで多くの人々の人生を狂わせてきました。 6月、その負の歴史を塗り替える画期的な法改正が行われました。オーナー商法を初めて、原則禁止と定めたのです。 この法改正の陰の立て役者と言われているのが、弁護士でも政治家でもない、71歳の民間人です。 (政経・国際番組部ディレクター 水野景太) 民間の消費者団体「悪徳商法被害者対策委員会」会長、堺次夫さん。71歳。 アルバイトや講演などで生計を立てながら50年近く、さまざまな悪質商法の被害者の相談にのるなどの活動を続けてきました。 被害者から寄せられた手紙の数は少なくとも6000通を超え、数えきれないほどになっています。 この日、訪ねたのは、東北地方で建設会社を営む男性とその従業員の女性。2人とも悪質
離婚した後も、「親」であり続けたい――。離婚した父母の一方のみを子どもの親権者とする「単独親権制度」をとる日本で、父母双方が親権をもつ「共同親権制度」の導入をめぐる議論が続いている。東京都内の40代男性は10月、妻と親権を争う離婚訴訟で共同親権を求め、最高裁に上告した。「一方の親から親権を奪うのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」とする異例の主張だ。 「パパーっ」 別居中の妻に付き添われて待ち合わせ場所の駅に現れた小学生と保育園児の息子たちが、男性の姿を見つけて抱きついてくる。月に2回だけ認められた7時間の面会と、年3回の宿泊。男性が一緒に過ごせる時間はわずかだ。 公園で野球や虫捕りをして、上の子が大好きなラーメンを一緒に食べる。ありふれているはずの親子のふれあい。だが、別れの時が近づくと、子どもたちは抱っこをせがんだり、泣き出したり。迎えの妻と去る後ろ姿が、胸を締め付ける。 妻が
今春、電車内で痴漢を疑われた男性が線路に飛び降り逃走する事案が頻発した。このうち一件は実際に迷惑防止条例違反で逮捕起訴されており、すでにwezzyでも報じた通りである。またもう一件、逃走後に電車にはねられ死亡した男性が女性に液体をかけた暴行罪で死亡後に書類送検されたこともつい最近報じられた。 これらの飛び降り逃走事案は、最近までワイドショーやネットニュースを騒がせ、またその際に「痴漢被害」ではなく「痴漢冤罪」の恐ろしさについてもセットで報じられる現象が巻き起こった。『痴漢』とくれば“冤罪が怖い”という連想が、「とりあえず」といえば「ビール」のごとく浸透していたということである。ここまで「痴漢といえば冤罪」という認識……いやむしろ“恐怖”を広めたのは、2007年に公開された周防正行監督の映画『それでもボクはやってない』の影響が小さくはないのではないか。このたび「痴漢といえば冤罪」の根元に迫る
2014年3月に静岡地裁(村山浩昭裁判長)が出した袴田事件の再審開始決定(以下、「地裁決定」)に対する検察官の即時抗告について、6月11日、東京高裁(大島隆明裁判長)は、地裁決定を取り消し、再審を開始しない旨の決定(以下、「高裁決定」)を行った。 マスコミからコメントを求められ、高裁決定を入手して全文を読んだ。 これまでの多くの事件に関して、検察の捜査・処分を厳しく批判し、美濃加茂市長事件などの冤罪事件で検察と戦ってきた私である。社会的に「冤罪事件の象徴」のように受け止められ、地裁の再審開始決定に対する検察の即時抗告でも、検察側と弁護側が激しく対立してきた袴田事件に関して、再審開始を取消す決定が出たことについて、検察側コメントと同趣旨の「適切・妥当な決定」との意見を述べることに、内心複雑なものがあることは事実だ。 しかし、高裁決定を読む限り、その根拠となった本田克也筑波大学教授のDNA鑑定
石巻市大川小津波訴訟で7日、亀山紘市長が上告方針を表明し、審理の舞台は最高裁に移る可能性が出てきた。8日に開かれる市議会臨時会での関連議案の審議を前に、控訴審で大きな争点となった「震災前に津波の危険を予見できたかどうか」について、高裁判決のポイントを整理する。(大川小事故取材班) 亀山市長は報道各社の取材に「事前に東日本大震災を本当に予見できたのだろうか。皆さんにも聞きたい。われわれには想定できなかった大災害だ」と強調。主な上告理由についても「東日本大震災は想定外だった」との認識を示した。 ただ、判決は「大川小校長らが予見すべき対象は東日本大震災の津波ではなく、2004年に想定された『宮城県沖地震』(マグニチュード8.0)で生じる津波」と明言している。予見すべき津波を巡り、亀山市長の認識と判決文には食い違いがあり、インターネット上にも同じような誤解が広がっている。 判決は、宮城県沖地震が起
日々、ドラマが起こる大阪拘置所の窓口にて 拘置所の窓口では悲喜こもごもの人生模様を垣間見る。 息子さんが突然逮捕されたようで、差し入れ方法がわからず窓口で途方に暮れる母親、学校を休んで父親に会いに来たらしい小学生のお嬢さん、兄貴分の激励のため訪れたと思しき入れ墨のおっさんなど、国家に身柄を拘束された近しい人たちを支えるため、老若男女が訪れる。 基本的に未決拘禁者が一時的にとどめ置かれる拘置所。出入りが激しいので面会や差し入れのために訪問する人たちの顔ぶれは日々移ろっていく。そんななか、大阪拘置所には係員たちに「おはようございます」と挨拶をかわすなどベテランの風格を漂わせる一団が通っている。籠池夫妻の支援者たちだ。 あれだけ世間の注目を浴びていたふたりは一体、どのように過ごしているのだろうか? 残念ながら接見禁止措置が講じられているので面会はおろか、手紙のやりとりや写真を送ることすら禁じられ
生活保護受給者のパソコン購入費は「自立更生の出費」と言えるのか――。自治体による生活保護費の返還請求をめぐる訴訟で、東京地裁は「パソコンは知人に借りることができる」として、自立更生の費用とは認めない判決を出した。 生活保護法は余分に受け取った保護費の返還を求めているが、国の通知で、「自立更生の出費」は免除できると定めている。 判決は9月21日付。判決によると、原告は東京都東村山市で一人暮らしをしている女性で、2011年11月に甲状腺の手術を受けた後、仕事のあてがなくなり12年2月に生活保護の受給決定を受けた。同年5月~13年5月まで、計122万円を受給した。 だが、女性が12年3月から半年あまり派遣会社で働き、収入を得たことが判明。同市は約73万円について返還を求めた。女性側はパソコンの購入費は「自立更生の出費」にあたると主張。「求職活動や収入申告に必要だった」として返還は不要と訴えた。
日本中に急激に増え続けているベトナム人労働者(イメージ) 突然だが、あなたは有名なベトナム人と聞いて、誰を思い浮かべるだろうか。映画好きなら、『青いパパイヤの香り』や『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン監督(余談だが、この監督、なかなかのイケメン!)。サッカー好きなら、「ベトナムのメッシ」と呼ばれるグエン・コンフォンや、コンサドーレ札幌でプレーしたレ・コン・ビン(2016年に引退)だろうか。 だが、これらの有名人は、正直、よっぽどベトナム通でなければ出てこない名前。一般的にこの質問をされて、パっと答えられる日本人はあまりいないのではないだろうか。 かくいう私もその一人。かつて、アラフォー、アラフィフ世代が好んで見ていた番組に、『スター誕生』がある。小泉今日子、中森明菜らを生んだこの名番組は、当時アイドルやタレントになるための登竜門だった。これで優勝し、スカウトされると成功する人が多かった
阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2018年1月18日 最高裁「判例削除」非公開ルールをスクープ 17年12月、東京高裁の岡口基一判事がツイッター上で強盗殺人事件の判決を裁判所HPの判決文のリンクをつけて紹介したところ、遺族が「不愉快だ」と抗議、東京高裁に「厳重処分を求める要望書」を提出する騒ぎとなった。東京高裁側は遺族側の弁護士に謝罪して判決文を削除した。 これをメディアは「お騒がせ判事の不祥事」とはやし立てた。ジムで鍛えたからだを下着姿で公開した「白ブリーフ判事」(彼のトレードマークらしい)の暴挙であるかのように記事を仕立て、例えば12月28日付け朝日新聞のように「高裁、ネットに判決文誤掲載」と見出しをつけた。だが、そもそも掲載基準は公開されていなかったから「誤掲載」かどうか、実はわからないはずだ。よくもまあ、鬼の首でも取ったかのように書けるものだ。 この事件は「白ブリーフ判
※当声明は2017年12月8日に神戸地検へ賛同者一覧とともに提出しました。編集長は12月11日に不当にも起訴されてしまったため、起訴取り消しと即時保釈を神戸地検・神戸地裁へ要求していきます。提出へ向けて、保釈請求に関する文言を追加しています。引き続き賛同を募集しておりますので、どうぞご協力をお願いいたします。(2017年12月25日) ●新体制作りを始めた矢先の弾圧 人民新聞社は1968年に創刊し、毎月3回発行しています。日本中・世界中で権力とたたかう人々の声を伝えてきました。この夏に大阪府茨木市に事務所を移転し、世代交代と地域密着でより広い協力体制を作り、編集体制の強化を進めていました。 その矢先の11月21日、突然編集長の山田洋一氏が兵庫県警に不当逮捕され、自宅と新聞社事務所が家宅捜索されました。容疑は「詐欺罪」で、新聞社とは関係が無く、内容も不当そのものです。編集長は12月11日に起
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