2024年8月、九州・日向灘の地震によって、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が出されるなど、巨大地震への警戒が強まる日本。 今、科学者たちが分析を急ぐのが、元日に能登半島を襲った地震。16万棟以上の建物が被害を受け、鉄筋コンクリート造のビルも多くが損壊しました。その要因の一つと指摘されているのが、揺れを増幅する“軟弱地盤”です。しかも、軟弱地盤は東京や大阪などの大都市を中心に日本列島の至るところに存在するというのです。 さらに科学者が指摘するのは、建物の地下=基礎に潜むリスク。比較的新しいマンションやビルでも大地震で住めなくなるおそれがあるというのです。能登半島地震の被害から浮かびあがってきた私たちの足元に潜むリスクとは…。 (NHKスペシャル取材班 三木健太郎・高橋弦・林秀征・老久保勇太)
「事前復興計画」は南海トラフ巨大地震などの大規模な災害に備え、被害が想定される自治体であらかじめ被災後のまちづくりを考えておく計画です。 例えば住宅を現地に再建するのか、それとも高台に移転するのかや、仮設住宅の用地の確保などを事前に調整することで、復興のスピードを早めることを目的としています。 13年前の東日本大震災の際に避難生活で多くの住民が地元を離れたことで住民の声がまちづくりに反映されにくくなり、復興事業が完了するのに長い年月がかかっただけでなく、人口の流出にもつながったことを教訓としています。 このため国土交通省は全国の自治体に計画の策定を呼びかけていますが、去年7月末の時点で策定を終えたのは2%にあたる30自治体にとどまり、策定を進めている自治体も1%にあたる20自治体にとどまっています。 一方、策定の検討をしていない自治体は、76%にあたる1351の自治体にのぼっています。
能登半島地震の被災地で復旧・復興を進めるには倒壊した建物などの撤去が必要となっています。しかし、半年がたつ今も多くが残されたままで、解体業者などに取材すると被害の規模の大きさと半島の先に位置する被災地の交通の便の悪さなどが撤去の妨げになっていることがわかりました。石川県は公費解体の対象となる建物をおよそ2万2000棟と推計し、来年10月までに完了させる計画を立てています。 撤去の妨げになっているものとは 石川県内では、6月24日の時点で、あわせて2万865棟の公費解体の申請が出されていますが、解体・撤去が完了したのは911棟と4%余りにとどまっています。 石川県との協定に基づいて市や町と契約を結び、解体作業にあたっている業界団体の「石川県構造物解体協会」によりますと、当初は調整などに時間をとられたということです。 解体が必要な建物の数に比べて解体前の調査にあたる会社や自治体の人手が不足して
世界的な建築家の隈研吾さんが、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市を訪れて坂口茂市長と会談し、市が策定を進める復興計画のアドバイザーに就任しました。 隈研吾さんは、3年前に開催された東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして使われた国立競技場を手がけるなど世界的な建築家で、東日本大震災の被災地に建設された交流施設の設計などにも携わりました。 隈さんは、能登半島地震の被災地の復興に協力したいと7日、輪島市を訪れ、はじめに地震で大規模な火災が発生し、多くの建物が焼失した「朝市通り」を視察しました。そして輪島市役所で坂口市長と会談しました。 会談は非公開で行われましたが、隈さんは市が策定を進めている「復興まちづくり計画」のアドバイザーに就任したということです。 また、会談では輪島市の町並みの再建は、木造建築を多く取り入れるべきだとか、地元の輪島塗の技術を生かすべきだといった
台湾の中央気象署によりますと、台湾東部の花蓮県沖で3日午前、マグニチュード7.2の地震があり、花蓮県や北東部の宜蘭県、北部の台北市や新北市など広い範囲で強い揺れを観測しました。 現地では、丸1日がたった4日も地震が相次いでいます 台湾当局が地震のあと連絡がとれなくなっている人の捜索を続けるなか、斜面が崩落した花蓮県のハイキングコースで、4日午後、新たに男性1人の遺体が見つかりました。 これで今回の地震の犠牲者は、花蓮県で、あわせて10人になりました。 また、けがをした人は、日本時間の午後9時40分までに新北市や台北市、それに花蓮県などであわせて1099人にのぼっています。 花蓮県では落石や土砂崩れの影響で道路が寸断され、台湾有数の景勝地として知られる太魯閣渓谷にあるホテルで足止めされている人が600人余りいます。 このほか、花蓮県でまだ連絡がとれていない人が15人いて、当局は空からの捜索も
首都直下地震による長期的な経済と資産の被害について土木学会は、6年前の推計を見直し、1001兆円にのぼるとする報告をまとめました。 土木学会の委員会は、巨大災害への対策に役立ててもらおうと、6年前、経済などへの影響を災害ごとに公表し、このうち首都直下地震では経済と資産の被害が20年間で合わせて778兆円、南海トラフ巨大地震では1410兆円と推計しました。 その後、新たに得られたデータをもとに見直しが行われ、首都直下地震については前回から223兆円多い1001兆円にのぼるとする報告をまとめました。 経済被害の推計には、その後の復興事業の影響を反映していないため、実際は軽減が見込まれるということです。 そのうえで、21兆円以上を投じて道路や港湾などの公共インフラの対策を進めれば、経済被害を369兆円減らすことができるとしています。 委員会の小委員長で、京都大学大学院の藤井聡教授は「経済がどれだ
13年前の東日本大震災では電話が使われなくなった地域での救助や支援の要請などでSNSが注目されましたが、能登半島地震では旧ツイッターのXで救助を求める投稿の中で偽情報が過去の災害より多い傾向があることが国の研究機関のデータからわかりました。 専門家は災害時に偽情報の拡散を防ぐため、SNSの運営会社による改善や法的な対策が必要だとしています。 目次 東日本大震災 ツイッターで救われたケースも 気仙沼市 震災時ツイッターどう活用? 東日本大震災のあと、災害時の情報伝達の手段としてツイッターを始めとするSNSが注目され、その後起きた地震や水害などの災害では行政が細かい地域に応じた情報を発信するなど、情報インフラの1つとして活用されるようになりました。 しかし、ことしの能登半島地震のあとは特にXで偽の救助要請が拡散されていて、国の研究機関、情報通信研究機構が災害時に日本語でのXの投稿を収集している
日本防災士会理事で岐阜県支部長の岩井慶次さんは、全国の被災地で災害ボランティアの活動にあたってきました。 特に2011年の東日本大震災の時には、地震発生の2週間後から宮城県石巻市の小学校でボランティアとして、避難所の運営に携わりました。 その中で岩井さんが考えたのが、“洗髪スペース”です。 ホースにじょうろの先をつけ、ぬるま湯を流すシャワーを手作りし、校舎脇の手洗い場でお年寄りの頭を洗ってあげたということです。 お風呂も入れず厳しい避難生活が続く中、“ひとときの安らぎを作ってあげたい”。 岩井さんの避難者を思う気持ちから出た行動でした。 岩井さんはボランティアにしかできない役割をこう話します。
「避難所の数はなかなか減らない。78か所になっている。避難者数もピークからだいぶ減っているが、2200人ほど。避難している方々にしっかりとした支援をしていくということとあわせて避難所の集約もしっかりと進めていきたい」 「20日に水質検査を完了した。約3分の1が通水状態であるので、市民に向けて“水を使っていいですよ”“下水も使っていいですよ”という発表をさせてもらった。比較的、被害が軽微な方々が2次避難所から自宅に戻れるようになってくるのではないかと考えている」 「早くなんとか地元の輪島市に戻っていただけるよう、仮設住宅の建設促進もあわせてお願いしたい」 「今後、大きな問題として、倒壊家屋の解体撤去がある。公費解体に向け、市としても受け付けなどの事務も膨大となり、人的にかなりきつい。人的支援についてもぜひともお願いしたい」 「り災証明は順次、拡大をしている。調査はだいぶ終わってきていて、全壊
広い範囲で断水が続いている石川県珠洲市では下水管も大きな被害を受け、トイレなどが使えない状況が続いていて、市が被害の状況確認や復旧作業を急いでいます。 珠洲市では市の人口の半数余りが公共下水道が整備された地域で生活していますが、これまでの市の調査でマンホールが浮き上がるなど、市内の下水管の94%で被害が確認されています。 市は復旧を進めるため、被害状況についてさらに詳しい調査を進めていて、18日は専門の業者がマンホールから特殊なカメラを入れて下水管の破損状況などを細かく調べていました。 さらに、各家庭などから集まった下水を処理施設に送り込む「圧送管」と呼ばれる配管も大きな被害が確認されたことから、業者が1本4メートルの仮のパイプをつなぎ合わせて敷設する作業を進めていました。 市によりますと、下水管は大きな被害を受けている一方、調査と工事を行う業者は県外からの派遣に頼っている状況で、復旧の見
最大で震度7の揺れを観測した能登半島地震の発生から19日で7週間です。水道などのインフラ設備の被害が大きい石川県の奥能登地域では、復旧やがれきの撤去を進める人手や作業時間をどう確保するかが課題となっています。 元日に発生した能登半島地震では、今月16日の時点で石川県内の6万9910棟の住宅で被害が確認され、倒壊した建物やがれきの多くはいまだに手付かずのまま残されています。 また、石川県内ではおよそ2万7000戸が断水していて、珠洲市ではほぼ全域に及んでいるほか、下水管も広い範囲で破損しています。 道路も段差や亀裂などの修復が進まないところが残されていますが、奥能登地域では宿泊できる施設が限られ、復旧にあたる人たちの滞在時間を確保できないことが作業の妨げとなっています。 こうした中、地元のNPOが独自に宿泊先を提供してボランティアを受け入れるといった取り組みも始まっています。 石川県も全国か
能登半島地震で被災した石川県では8日、去年10月時点の年齢別の推計人口が公表されました。大きな被害を受けた「奥能登地域」では65歳以上の割合が50%前後となっていて、復旧復興に向けた動きとともに、若い世代の定住化をいかに進めていくかなどが課題となっています。 石川県が8日に公表した、去年10月1日時点の石川県の推計人口は110万9574人で、その時点までの1年間で8253人減りました。 年齢別では65歳以上の割合が30.7%と、これまでで最も高くなり、特に珠洲市で53.2%、輪島市で49%など、今回の地震で大きな被害を受けた「奥能登地域」では65歳以上の割合が50%前後となっています。 これについて石川県の馳知事は8日、記者団の取材に対し、「創造的復興の絵を描いて実行に移していくために、住民の声などさまざま声を聞き、定住人口、移住などの増大に向けて魅力ある地域をつくっていく必要がある」と述
経団連の十倉会長は、能登半島地震の被災地の復興への大阪・関西万博の影響について「現時点で復旧復興に支障を来す事態は認識していない」と述べ、来年の開催に向けて予定どおり準備を進める考えを改めて示しました。 万博の実施主体の博覧会協会は6日、都内で理事会を開き、理事会のあとトップを務めている経団連の十倉会長と、石毛事務総長が記者会見を開きました。 この中で十倉会長は、能登半島地震の復興工事に万博の準備が影響しないか問われたのに対し、「被災地ではインフラ復旧を重点的にやっていて土木が中心だが、万博は土木は終わっていて、これから建設に入っていく段階だ。現時点で復旧復興に支障を来す事態は認識していない」と述べ、影響はないとする考えを示しました。 そのうえで、「能登地震で被害にあわれた方が一日も早く日常を取り戻すのが最優先で、国と博覧会協会で情報共有してやっていきたい」と述べ、来年の開催に向けて予定ど
能登半島地震では建物の倒壊や火災、津波、寒さによって多くの命が奪われましたが、広範囲で発生した液状化による被害が生活再建の大きな障壁となっています。専門家の分析では、今回の地震で被害が大きかった場所が砂が堆積した「砂丘」に集中していることがわかりました。専門家は「砂丘の液状化被害はこれまであまり注目されておらず、今後の対策に生かす必要がある」と指摘しています。 東西300キロ・震度4でも 地盤災害のメカニズムに詳しい防災科学技術研究所の先名重樹主任専門研究員が現地調査や航空写真などから、今回の液状化被害の状況を分析しました。 その結果、液状化が確認された範囲は新潟市中央区から富山県、石川県、そして福井県坂井市にかけての東西およそ320キロの範囲に及んでいました。 中には富山県魚津市など、これまで液状化があまり確認されてこなかった震度4程度の揺れでも被害が発生していました。 今回の揺れの継続
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