政府は使用済みの太陽光パネルのリサイクルを義務化する検討に入った。2030年代には耐用年数を迎えるパネルが大量発生する。埋め立て処分を減らして環境への負荷を抑える狙いがある。25年の通常国会にも関連法案を提出する。太陽光発電の導入は固定価格買い取り制度(FIT)が始まった12年以降に急拡大した。耐用年数は20~30年といわれる。30年代半ば以降には大量廃棄のピークが訪れる。環境省は処理が必要
政府が脱炭素社会の実現やエネルギーの安定供給に向けた新たな国家戦略を策定することがわかりました。二酸化炭素の排出削減を図るため「排出量取引」への参加を企業に義務づけることも検討し、年内の取りまとめを目指す方針です。 日本は、2050年に温室効果ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指していますが、生成AIの普及拡大に伴うデータセンターの建設などで、電力需要の増加が見込まれるうえ、中東情勢の緊迫化や円安の進行で、化石燃料に依存しないエネルギーの導入拡大が課題となっています。 このため、政府は脱炭素とエネルギーの安定供給、それに経済成長を同時に実現させるための新たな国家戦略を策定する方針です。 具体的には ▽2040年に向けた新たな政府目標を設定するほか ▽二酸化炭素の排出量に応じて、企業などがコストを負担する「排出量取引」では、2026年度の本格運用にあわせて、排出量の多い企
総務省は、太陽光発電設備の設置をめぐって各地で地元の住民とトラブルになっているケースがあるとして事業者を指導する経済産業省に対し、トラブルを防ぐため現地での調査を強化するよう勧告を出しました。 太陽光発電をめぐっては各地で設備の設置が進んでいますが、▽周辺住民への事前の説明が不十分だったり、▽設置した斜面から土砂が流出したりするなどトラブルも報告されているということです。 総務省行政評価局は、トラブルの状況を把握するため、昨年度から今年度にかけて太陽光発電設備が多く設置されている都道府県を抽出して調査を行いました。 このうち全国24都道府県の市町村を対象に行った調査では、回答があった861市町村のうち、およそ4割にあたる355市町村で設置をめぐって何らかのトラブルがあり、このうち143市町村ではトラブルが未解決のままになっていたということです。 具体的には▽周辺に生い茂った雑草の管理や▽土
再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、太陽光や風力発電が盛んな北海道や九州と、東京などの消費地とを結ぶ送電網の整備が課題となっています。具体的な整備計画がまとまり、北海道と東京を結ぶ送電網を1兆5000億円以上を投じて新設することになりました。 脱炭素に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大が急がれる一方、太陽光や風力発電の適地が多い北海道や九州では、発電量が増えすぎて電力供給が需要を上回り、電気がむだになるケースも起きていて、消費地の東京や大阪などとを結ぶ送電網の強化が課題となっています。 これを受けて、全国の電力需給を調整しているオクト=「電力広域的運営推進機関」は、北海道や九州と、本州を結ぶ送電網の具体的な整備計画をまとめ、来年度に事業者を公募することになりました。 このうち、北海道と東京を結ぶ送電網では、1兆5000億円から1兆8000億円を投じて日本海に海底ケーブルを敷くルートを
西村経済産業大臣はNHKの日曜討論で、国連の気候変動対策の会議「COP28」において、これまでの世界全体の対策の進捗が評価されることについて、会議の議論を踏まえ、脱炭素社会の実現に向けた新しい政府目標の検討を始めたいとする考えを示しました。 UAE=アラブ首長国連邦で行われているCOP28では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えるため、世界全体の対策の進捗を5年に1度、評価する仕組み「グローバル・ストックテイク」が初めて行われます。 日本は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を、2013年度と比べて46%削減する目標を掲げていることについて、西村大臣は、「再生可能エネルギーの導入と原子力発電が車の両輪だ。日本発の技術であるフィルム型の『ペロブスカイト太陽電池』などの普及を急ぐほか、原発については安全性が確認されたものは、地域の理解を得ながら再稼働を進めたい」と述べま
「COP28」は日本時間の30日午後からUAEのドバイで始まり、12月12日まで開かれる予定で、190を超える国と地域が参加する見通しです。 今回のCOPでは、気候変動対策の枠組み「パリ協定」の目標達成に向けて温室効果ガスの削減など世界全体の対策の進捗を5年に1度、評価する仕組み「グローバル・ストックテイク」が初めて行われます。 国連は、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度に抑えるためには各国の削減目標が不十分だと指摘しています。 「グローバル・ストックテイク」を踏まえ、対策の強化につなげられるかが焦点で、再生可能エネルギーの拡大や石炭や石油といった化石燃料の段階的な廃止などが議論される見通しです。 また、世界各地では大規模な洪水や記録的な猛暑が相次ぎ、気候変動による被害が深刻化しています。 前回のCOPでは、とくにぜい弱な途上国を対象に気候変動による被害「損失と損害」に特化した
建築物の脱炭素に向けて、来年度から、新築住宅などの販売や賃貸の際には省エネ性能の表示が求められることになっていて、国土交通省は、表示すべき具体的な内容を公表しました。 法律の改正に伴い、来年度から新築住宅などを売り出したり賃貸を行ったりする業者には、建物の省エネ性能を表示することが努力義務として求められます。 これを前に国土交通省は表示すべき具体的な内容などをガイドラインとしてまとめ、公表しました。 この中では、 ▽国が定める省エネ基準に対しどれだけエネルギー消費が抑えられているかを星の数で記すことや、 ▽断熱性能の度合いを段階別に数字で表すこと、 ▽1年間の光熱費の目安を示すことなどを求めています。 不動産情報を扱う大手の紹介サイトでも、来年4月からこうした省エネ性能が表示される見通しです。 一方、2025年度以降は、住宅などの新築や増築の際に、省エネ基準を満たすことが義務づけられる予定
「夏ごろとはいったい、いつか」国内外の関心が集まった、福島第一原発にたまる処理水の海洋放出の開始時期。早ければ8月24日に決まった。そして24日午後1時ごろ、海への放出が始まった。IAEA=国際原子力機関が放出計画を「国際的な安全基準に合致している」と結論づけてから1か月半がたっての総理大臣・岸田文雄の決断だった。風評被害への懸念、想定を超えた中国との“外交戦”。決断の背景には何があったのか。舞台裏に迫る。 (森裕紀、清水大志、古垣弘人)※24日内容を更新しました。 海洋放出の開始表明 「具体的な放出時期については、気象・海象条件に支障がなければ、8月24日を見込む」 8月22日、岸田が表明した。 その上で、風評への影響や、なりわいの継続に対する不安に対処すべく、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも処分が完了するまで政府として責任を持って取り組んでいくと重ねて強調した。 決断に対し「たまり
環境省は2024年度、省エネルギー対策が遅れている既存ビル向けに、高効率エアコンの導入や断熱改修などを促す補助事業を新設する方針を固めた。 既存ビル全体の省エネ性能を底上げする狙いで、同年度予算概算要求に金額を示さない「事項要求」として盛り込む。 高性能な省エネタイプの空調や発光ダイオード(LED)を使った照明機器、断熱窓などの導入が対象となる見通し。ゼネコン大手各社は近年、工事中でもビル内の業務への影響を最小限に抑えられる改修工事を手掛けており、休業の必要はないという。 ビルの省エネでは、自家発電設備などを備えて電力などのエネルギー消費を実質ゼロにすることを目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」が知られている。今回の事業は、厳しいZEBの基準を満たさなくても補助を認める方向だ。 補助率などの詳細は年末の予算編成過程で詰める。現在、既存ビルではZEBへの改修を進める民間事業者や
秋本真利衆議院議員が洋上風力発電への参入を目指す風力発電会社側から受け取ったおよそ1000万円は、政府が洋上風力発電事業の入札評価基準の見直しを公表した翌日に、議員会館の事務所で現金で受け渡されていたことが関係者への取材で新たにわかりました。 秋本議員は、会社が事業の受注に失敗した後、国会質問で入札評価基準の見直しを繰り返し求めていて、東京地検特捜部は詳しい経緯を調べているものとみられます。 洋上風力発電をめぐり秋本真利衆議院議員(47)が、東京の風力発電会社「日本風力開発」の塚脇正幸社長(64)からおよそ3000万円を受け取ったとされる事件で、東京地検特捜部は、収賄の疑いで秋本議員の事務所などを捜索し、捜査を進めています。 塚脇社長から提供された資金はおよそ3000万円にのぼっていますが、このうちおよそ1000万円は、政府が洋上風力発電事業の入札評価基準の見直しを公表した翌日の去年10月
原子力発電所で使い終わった核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」について、中国電力は山口県上関町に対し建設に向けた調査を申し入れました。町によりますと、調査は関西電力と共同で行いたいという説明があったということです。 使用済み核燃料をめぐっては、搬出先となる青森県の再処理工場が完成せず、全国の原発の燃料プールにたまり続けている状況で、貯蔵場所の確保が課題となっています。 こうした中、中国電力は中間貯蔵施設の建設に向けた調査を山口県上関町で行う方針で、2日、中国電力の幹部らが上関町役場を訪れ、町長に説明しました。 町によりますと、建設に向けた調査は関西電力と共同で行いたいという説明があったということです。 関西電力は、敷地内にある使用済み核燃料を保管するプールの82%がすでに埋まっていて、原発が立地する福井県から県外への搬出を求められています。 面談のあと上関町の西哲夫町長は、「中国電力の提案
北海道蘭越町にある地熱発電の調査現場で蒸気が噴出している問題で、掘削を行っていた会社は、現場の敷地内で採取した水から非常に高い濃度のヒ素が検出されたと、6日夜、新たに発表しました。会社では周辺の住民に注意を呼びかけるとともに関係機関と対応を協議しています。 6月29日、北海道蘭越町湯里の山中にある地熱発電に向けた資源量調査の掘削現場で数十メートルの高さまで蒸気が噴出し、6日夜の時点でも噴出が続いています。 掘削工事を行っていた「三井石油開発」は6日夜、7月3日と5日現場の敷地内で採取した水から非常に高い濃度のヒ素が検出されたと発表しました。 このうち、5日採取した水には1リットルあたり15.9ミリグラムのヒ素が含まれていて、これは国が定める飲料水の基準の1590倍にあたるということです。 会社では、これらの水を水道水や農業用水として使われていない近くの沼に放出するなどしているということです
廃炉が進む福島第一原子力発電所の地下には、放射線量が極めて高い土のうが廃棄物として残されていて、東京電力は今年度中に回収作業を始めたいとしています。ただ、原子力規制委員会からは、作業方法の十分な検証を求められていて、予定どおり進められるかは不透明な状況です。 福島第一原発には、事故対応で発生した汚染水を敷地内にある2つの建物の地下に移した際に、放射性物質を吸着するために入れた「ゼオライト」という物質や、活性炭を含む土のうが、今も残されています。 土のうは、合わせておよそ2850袋、41トンにのぼり、表面の放射線量は最も高いところで1時間あたり4.4シーベルトと、人が2時間ほど近くにいると死に至る極めて高い値が計測されています。 東京電力は、今年度中に回収作業を始めたいとしていて、放射線を遮る効果のある水中で遠隔操作のロボットを使って「ゼオライト」などを集め、ホースで吸い上げて保管容器に移す
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